元東大のエース・宮台康平の覚悟。「プロは勉強を逃げ道にできない」 (2ページ目)

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

――今年1月に鎌ヶ谷で行なわれた新人合同自主トレでも、エンゼルスの大谷翔平選手が自主トレを行なっていたこともあって、多くのファンが詰めかけましたね。

「清宮(幸太郎)もいましたし、ファンの多さに圧倒されましたね。それまで、練習をあんなに多くの人に見られることがなかったのでプレッシャーになりましたが、『プロは人に見られる仕事なんだ』という自覚を持つことができました」

──学生時代との違いを感じることは多いですか?

「たくさんあります。たとえば、学生時代は野球で結果が悪くても、勉強をすることで自分を肯定することができたんです。悪い言い方をすればそれが僕なりの"逃げ道"だったんですが、プロ野球ではチームの一員であることが唯一のアイデンティティ。この厳しい世界で結果を残してきた方たちを本当に尊敬します」

──ちなみに、もしファイターズに指名されていなかったらどんな道に進んでいたか、と考えたことはありますか?

「考えたことはなかったですけど、たぶん野球は辞めていたと思います。就活して、サラリーマンになっていたのかな。大学のひとつ上の先輩で、バッテリーを組んでいた喜入(友浩)さんがアナウンサーになる目標を実現させたように、大学生は自分の将来のビジョンを描く時期があると思うんです。でも僕は、野球でプロになること以外にやりたいことがなかった。『ドラフトで声がかからなかったら、そこであらためて考えよう』と思っていましたが、ファイターズに指名していただけたので『チャレンジしてみよう』となりました」

──実際にプロの世界に入ってみて、宮台選手が感じた"すごさ"は?

「やはり、甘く入ったボールを見逃さないことです。楽天の(ゼローズ)ウィーラー選手が2軍にいたときに対戦したんですが、スイングが強くてすごいバッターだなと思いました。そんな1軍で活躍する選手を抑えるため、より丁寧に投げることを心がけるようにしています。

 あとは、先ほども言ったようにシーズン途中で息切れしない"タフさ"が必要だと感じています。大学生のときは春と秋のリーグに合わせて調整を行なっていましたが、プロでは毎週登板があるので状態を落とせない。また、試合の結果に左右されないメンタル面の強化も欠かせません。僕はまだ気持ちにムラがあるので、試合ごとに一喜一憂しないように戦っていきたいです」

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