阪神ドラフト5位・谷川昌希を社会人時代に大変身させた元プロの3人 (3ページ目)

  • 高木遊●文・写真 text&photo by Takagi Yu

 すると今年の都市対抗予選、7日間で6試合を戦うという過酷なスケジュールのなか、谷川は5試合に登板し、うち4完投という驚異の投げっぷりでチームを5年ぶりの本大会へと導いた。開幕戦では前年度優勝のトヨタ自動車を相手に、11回まで13奪三振、1失点の好投を見せた。

 さらに日本選手権予選でも、5試合すべてに登板して4完投。最後の試合に0対1で敗れて本選出場はならなかったが、チームのエースとして十分すぎる活躍を見せた。

 ドラフト会議を週間に控えた取材では「逆にこれでもダメだったら諦めつくなと思います」と、悔いなく今季を終えることができた充実の表情を見せていた。

 そして運命の日、谷川の名前は阪神のドラフト5巡目で呼ばれ、ついに幼い頃から描いていた夢を叶えた。次なる目標には「プロ年目での年間60試合登板」を掲げる。九州三菱自動車で身につけたスタミナと「負担を最小限にするため」のケアと体の使い方は大きな武器になる。

 また、以前から得意としていたスライダーやカットボールに加えて、今年就任した九州三菱自動車の加藤伸一コーチ(元オリックスなど)に教えを請い、身につけたシュートも大きな武器になっている。

 加藤コーチは「成長をする上で足を引っ張るものがないですし、インコースを使える度胸もある。プロでもインコースを攻め切れるかどうかでしょう」と話し、「いろんなものを犠牲にして野球に取り組んできたわけですから、名を残し、数字を残し、お金を残してほしいですね」とエールを送る。

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