名打撃コーチが言う。「広島と阪神のバッターには決定的な差がある」 (5ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 おそらく鈴木は「また引っかけてしまった。わかっていたのに......」と思ったのではないだろうか。結果云々より、自分のスイングができず同じような不本意なバッティングをしてしまったことが腹立たしかったのだろう。

 だが、8回の打席では外角の球をしっかりライトに弾き返した。それまでの力任せの強引なバッティングとは違い、素直に強く叩く彼本来のバッティングを見せた。前までの打席の反省を、しっかりその試合で修正した。決して「ヒットを打ったからいいや」では終わらせない。それが鈴木の良さだろう。

 昨年"神ってる"でブレイクした鈴木だが、彼の活躍は決してまぐれとは思わないし、勢いだけでもない。しっかりとした技術があり、打席のなかでも高い意識を持っているからこそ、あれだけのプレーができたのだ。

 ペナントレースはまだ続く。もちろんこの先、広島、阪神とも「勝った、負けた」が繰り返されるだろうし、ゲーム差が一気に縮まることもあるかもしれない。だが現状を見る限り、両チームには順位以上に間違いなく大きな差があると感じた。それは"意識"という大きな差だ。

(つづく)

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