打てているのに「これじゃない」。T-岡田とのバッティング禅問答

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 オリックスが久しぶりに本拠地に戻ってきた。個人的に楽しみにしていたのが、T-岡田が何を語ったかということだ。遠征前の最後の本拠地3連戦となった4月11~13日のロッテ戦で岡田とバッティングについていろいろと話をさせてもらった。そのなかで興味深かったのは、そのときに取り組んでいた"新打法"についてだ。

もともとスロースターターだが、今季は開幕から好調を維持しているT-岡田  もともとスロースターターだが、今季は開幕から好調を維持しているT-岡田   このロッテ3連戦が始まる前の岡田は、打率.321、2本塁打とまずまずの成績を残していた。これも"新打法"の効果かと思い声をかけると、岡田の反応は思いのほか渋く、「10段階で言えば3か4です」という意外な答えが返ってきた。履正社高時代から滅多なことで「好調」を口にしないタイプであることはわかっているが、それにしても「3か4です」という答えには、正直、驚いた。

 もともとスロースターターで、たとえば本塁打王を獲得した2010年も開幕5試合は17打数2安打、0本塁打と苦しみ、昨年も開幕5試合で14打数2安打、0本塁打とスタートに乗り遅れ、その後、ファーム落ちも経験した。

 それが今年は例年になくいいスタートを切れている。それでも岡田は「感覚がよくないんです」という言葉を繰り返し、2本のホームランについても「たまたまという感じで......」と歯切れが悪い。

 オープン戦は15試合で打率.216、1本塁打、13三振と調子が上がらず、その状況のなかで開幕を迎えたということがあったのだろう。ただオープン戦とは一変、開幕から順調にヒットを重ねていった。

1 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る