侍ジャパンを「正常運転」にさせた石川歩の強心臓と7本の内野ゴロ (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Getty Images

 立ち上がり2イニングの守りを終えた時点で、気づいたことがある。「全部、内野ゴロだな......」と。初回のサントスの内野安打もアヤラの三塁ゴロ失策も含めれば、2イニングで実に7本のゴロが内野に転がっていた。

 試合後、捕手の小林誠司はこう明かしている。

「リズムを意識してやっていたので、結果的にゴロが増えて良かったと思います」

 いくら百戦錬磨のメンバーが集まっているとはいえ、代表選手とて人間。気持ちよく試合に入っていくためには、小林の言う「リズム」がほしくなる。立ち上がりに多くの内野ゴロをさばいたことで、日本の野手陣が徐々にほぐれていった......とは考えられないだろうか。

 石川は本格派投手ではあるが、奪三振を量産できるタイプではない。カーブで緩急をつけ、得意のシンカーでゴロを打たせるのが持ち味だ。当初は「大事なオープニングゲームを石川に任せて大丈夫か?」という声も耳にしたが、石川のゴロを打たせて野手を動かす投球は、大会を戦っていくための導入として最適だったのかもしれない。

 石川本人に聞いてみると、「『打ち取った』という打球は少なかったし、ボールは高かったし、まだまだですね」と反省を口にした。事実、この試合では本来ウイニングショットであるはずのシンカーがあまり機能せず、途中からスライダー中心の配球に切り替えていた。変化球の精度には不満が残ったようだ。

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