WBC「A組」で開催国の韓国がピンチ。日本も他人事じゃないが... (3ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Getty Images

 結果、昨季に打率.414で新人王を獲得した王柏融(ワン・ブォロン)ら、本来代表に入るべき選手4、5名が抜けている。モチベーション的にも光明は見出しにくい。台湾プロ野球関係者からも「今回は惨敗し、プロ・アマ両組織の幹部が目を覚ます契機になってくれれば、1次ラウンド敗退も意味がある」という言葉さえ漏れている。

 そんな各国を迎え撃つ韓国はといえば、やはりモチベーションの問題が影を落とす。韓国球界は昨季、八百長事件や選手の違法賭博問題など、不祥事が相次いだ。選手選考時には、パイレーツで103試合に出場し、21本塁打を記録した姜正浩(カン・ジョンホ)に飲酒運転での事故が発覚。当然、代表からは外れた(3月3日には懲役8カ月、執行猶予2年の有罪判決が下された)。

 そうした事件が国内の野球人気に水を差すことになっただけに、WBCでは是が非でも1次ラウンド突破はもちろんのこと、2次ラウンド、決勝ラウンドへと求められる声は大きい。だが、戦力としては微妙だ。

 下馬評ではオランダが頭ひとつ抜けており、次が韓国でそれをイスラエルが追い越すか、という展開。しかし野球という競技は、サッカーやラグビーとは異なり、偶発的な要素が多いスポーツでもある。9イニングの中でなにが起こるかわからない。さらには、前述のような結束力の違いもある。

 チームの置かれている背景、モチベーションの有無を考えると、案外、戦力以上に結束力が雌雄を決するのではないか。A組はそんな国が期せずして揃った。

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