元Aクラス請負人・久本祐一が目指す「現役選手みたいな打撃投手」 (4ページ目)

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • 祐實知明●撮影 photo by Sukezane Tomoaki

── その助言が、カープの選手たちにも浸透しましたか?

久本 おかげさまで、今では傷ついたボールでキャッチボールをしている投手はいなくなりました。とはいえ、この世界、結果が出てない人間が何を言っても誰も聞いてくれませんからね。日々の努力を怠らず、成績を残せばみんな振り向いてくれるのかなと思い、チームの意識を変えるためとチームの優勝のためにがんばりました。

── ほかに、中日と広島で環境面での違いはありましたか。

久本 広島ではチームと球団との密接感みたいなものを感じました。中日は球団事務所と球場の距離が離れているんですよ。それに対して、広島はマツダスタジアム内にありますから、常にお客さんの生の声が直に聞こえてきます。この違いは大きいと思いましたね。今年、日本一になった日本ハムも札幌ドーム内に事務所が隣接していると聞きます。球団職員が現場近くにいることで選手たちも、より緊張感が生まれますし、ファンが興味を持つようなグッズやフードなどマーケティング戦略が毎日その場でできます。

── なるほど。そういう意見も今後のドラゴンズのファンサービスに活かされるといいですね。

久本 逆に広島でハードなのは、遠征の移動時間です。前夜に東京で試合があって翌日広島でナイターがある場合、球界ではそれを"移動ゲーム"と呼ぶのですが、何時に起きると思いますか? 始発の新幹線にスーツを着て乗り込むんですよ。これは日々の練習や試合よりも過酷でしたね。このことは中日に戻って、みんなに「恵まれているぞ!」と言いたいです。

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