ロッテ平沢大河は、立浪以来の開幕スタメン高卒内野手となるか? (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

 そして夏。甲子園に乗り込んだ平沢は徹底警戒されて、打つべきボールがなかなか来ない。それでも6試合で3本塁打をマークし、10打点を挙げた。エースの佐藤世那(オリックス6位指名)とともに、準優勝の原動力となった。

 その平沢だが、来季、開幕から使えばいいと思っている。使ってしまえば、結果を出す選手だと私は見ている。なぜなら、平沢には突き抜けた"野球センス"があるからだ。

 センス――よく使われる言葉ではあるが、わかっているようで、実は曖昧な言葉だ。なので、私もここ数年はこの言葉をほとんど使ってこなかった。しかし、その言葉の意味を教えてくれたのが平沢だった。私が思うセンスとは"適応能力"である。

 新しい環境や上のレベルに放り込まれたとき、もう何年もそこでやっているような顔で、コンスタントに自分の能力を発揮する力。その中には、身体能力はもちろん、感受性や洞察力、さらには知恵もあるだろう。そして、それらの力を生かし、求められた仕事を体現する。そうしたセンス、つまり適応能力を平沢に感じたのが、今年の夏の甲子園だった。

 地方大会から続く徹底マークに戸惑い、彼が甲子園の大舞台で放った安打は6試合でわずか6本。しかし、その6安打の中で、平沢は3本のホームランと2本の二塁打を打っている。

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