セカンドの概念を覆すヤクルト山田哲人の圧倒的攻撃力 (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 近い将来、日本ではセカンドが内野の花形になる――山田の登場は、そんなことまでも思い起こさせるのである。

「これまで、いい二塁手というのは(山田)哲人もそうですが、元々ショートだった人が多く、生粋のセカンドはあまりいませんでした。小さい時はいろいろなポジションをやるべきだと思いますが、今は哲人に憧れる子どもたちも多く、生粋のセカンドが出てくるかもしれないですね。哲人には『奥が深いなあ』と思わせるプレイができる選手になって欲しいです。少しずつ近づいている感じですね。まだ23歳、本当に楽しみですよ」(三木コーチ)

 猛暑の神宮球場。室内練習場にある小部屋で杉村コーチの取材をしていると、ドアをノックする音があった。振り返ると、バットを手にした山田の姿があった。早出練習のティーバッティングのパートナーである杉村コーチを探していたのだ。

「山田とは3年間、つきっきりで練習しようと話しました。今年がその2年目で、いずれ離れる時が来るんだけど、もうひとりになっても大丈夫でしょう。練習の取り組み方もそうだし、自分が何をすべきかを理解してきている」

 ティーバッティングが始まると、山田は時おり「暑い!」と天を仰ぎながら、いつものように黙々とバットを振り続けていた。その姿は去年とまったく同じだった。「練習で流した汗は、嘘をつかないし裏切らない」――山田を見ていると、その言葉がぴったりと当てはまるのだった。

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