2013年プロ野球「記録」と「記憶」の10大ニュース (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

第3位 統一球問題でコミッショナーが辞任

「やっぱりと言うべきか」――2011年から導入された「飛ばないボール」の統一球だが、今年はキャンプ、オープン戦の頃から「今年のボールは飛ぶ」「明らかに違う」など、選手や関係者の間でささやかれていた。NPB(日本野球機構)や統一球の製造元であるミズノは一貫して「これまでと同じ」と言い続けてきたが、6月11日に突如NPBが「仕様を変更していた」と告白。

 変更の事実を隠ぺいしていたNPBに批判が集まったが、「知らなかった」「批判には値するが、隠ぺいではない」という加藤良三コミッショナーの無責任発言でさらに大混乱。この責任をとって加藤コミッショナーは辞任するも、コミッショナー不在のまま日本シリーズを行なうという前代未聞の事態を招いてしまった。ちなみに日本シリーズで使用されていたボールに、これまで入っていた「加藤良三」の達筆な署名は消えていた。

第4位 長嶋茂雄氏&松井秀喜氏、国民栄誉賞受賞

 5月5日、東京ドームでの巨人対広島戦を前に、巨人軍終身名誉監督の長嶋茂雄名誉監督と、巨人、ヤンキースなどでプレイし、2012年に現役引退を発表した松井秀喜氏の国民栄誉賞の授与式が行なわれた。始球式ではマウンドに背番号「55」をつけた松井氏が立ち、打席には「3」を背負った長嶋氏。また、巨人の原辰徳監督がキャッチャー、安倍晋三総理大臣が審判をつとめるという豪華布陣。長嶋氏は松井氏の投じた内角高めの球を空振りすると、無数のフラッシュがたかれ、球場は大歓声に包まれた。

 その一方で、この日を境に話題に上がったのが松井氏の巨人復帰だ。「来季のコーチ就任」や「次期監督に決まり」など、シーズン序盤にも関わらずさまざまな憶測が飛び交った。それが影響したのかわからないが、翌日の試合から原巨人が4連敗を喫するなど、何とも皮肉な結果を招いてしまった。

第5位 小川泰弘、則本昂大......。躍動するルーキーたち

 田中将大、バレンティンの大記録に沸いた2013年のプロ野球。その彼らに勝るとも劣らない活躍を見せたのが、ルーキーたちだ。セ・リーグは小川泰弘(ヤクルト)と菅野智之(巨人)が最多勝争いを繰り広げ、16勝を挙げた小川に軍配が上がったが、菅野も13勝をマークし、リーグ優勝に貢献した。パ・リーグでは則本昂大(楽天)が15勝をマークするなど、エース・田中将大と二枚看板を形成し、日本一の原動力となった。さらに高卒ルーキーも、二刀流に挑戦した大谷翔平(日本ハム)は投打で非凡な才能を見せ、藤浪晋太郎(阪神)は開幕からローテーションを守り10勝をマーク。セ・リーグの高卒新人投手の2ケタ達成は、実に46年ぶりのことだった。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る