阪神の新守護神、呉昇桓は本当にすごい投手なのか?
2年総額9億円――。
2005年以来のV奪回を目指す阪神はこのオフ、韓国プロ野球史上最多の277セーブを記録している31歳の右腕・呉昇桓(オ・スンファン)と超大型契約を結んだ。
その内訳は、契約金が2億円、年俸が3億円、前所属の三星(サムソン)ライオンズに払う移籍金が5000万円で、さらに5000万円の出来高がオプションとしてつけられている。「高すぎるのでは?」という声が日本で聞こえている一方、韓国の反応は逆だ。同国の球界事情に精通するスポーツライター、慎武宏氏が語る。
韓国球界から年俸3億円で獲得した呉昇桓は、阪神の守護神となれるのか?「呉昇桓は三星に5回の優勝をもたらし、2013年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)では韓国代表のクローザーを務めたスーパースター。日本でいう、『大魔神(佐々木主浩/元横浜)』のような存在です。総額9億円は相応の額、というのが韓国国内の反応ですね」
韓国球界での軌跡を振り返ると、呉昇桓のすごみがよく分かる。大卒1年目の2005年から三星のクローザーとして活躍し、61試合に登板して10勝16セーブ11ホールドで新人王を獲得。韓国シリーズでは3セーブを挙げてMVPを受賞した。2006年に韓国記録の47セーブを樹立すると、同年から3シーズン続けて最多セーブに輝く。このころ、三星には林昌勇(イム・チャンヨン/2008年~2012年・ヤクルト、現シカゴ・カブス)が在籍していたものの、慎氏によれば、「呉昇桓の活躍で影が薄れたほど」だった。2009年、2010年は右ひじの故障に苦しんだが、復活した2011年には再びシーズン47セーブのタイ記録を作り、韓国シリーズでは2度目のMVPに選ばれている。
通算9年間で444試合に登板した「鉄腕」の武器は、常に球速150キロ台を計測するストレート。球威があり、韓国では「石直球」と言われている。
2009年のWBCで日本代表の投手コーチを務めた与田剛氏が、対戦時の印象を話す。
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