投手の「球数制限」「イニング制限」は本当に必要なのか? (2ページ目)

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 だから、ダルビッシュの球数騒動の時も、正直、騒ぎすぎだと思いました。もしこれが、メジャー1年目の話だったら理解できなくはありません。でもダルビッシュは2年目ですし、今やレンジャーズのエースといっていい存在です。おそらくワシントン監督のダルビッシュに対する見方も変わったのでしょう。エースは最低でも8回は投げてほしいという監督の思いもあったと思います。

 日本でも今年の4月、阪神の藤浪晋太郎が7回無失点、83球で交代した試合がありました。この時も、「交代は当然」「続投させるべき」と意見が分かれました。どっちの考えも理解できます。ただ、藤浪はまだルーキーで、1年を通して投げ続けたことがありません。いずれはローテーションの軸になってほしい選手でしょうし、まずは1週間に1回マウンドに立つことに慣れさせてあげないといけない。球数やイニング数を抑えてでも、ローテーションを守るということを経験させてあげたほうが将来のためになると、僕は思います。

 球数やイニング制限の問題は、僕らプロ野球関係者を含め、もっと勉強していかなくてはいけない問題だと思っています。昨年もワシントン・ナショナルズのスティーブン・ストラスバーグが160イニング以上は投げさせないという球団の方針から、チームがプレイオフに進出したにも関わらず、ストラスバーグは9月上旬でシーズンを終えてしまいました。将来を嘱望された選手ですし、2010年にはヒジの手術をしているので、チームが言うこともわからないではありません。ただ、ピッチャー心理からすれば、健康なのに投げられないのは本当につらい。おそらくストラスバーグはもっと投げたかったはずです。

 投手を育てることは大切なことです。でも、大事に育てる=球数やイニングを制限することではありません。本当に大切なことは、いいコンディションを作らせ、気持ち良くマウンドに送り出してあげることだと思います。いくら100球制限を守っていても、ケガをする時はしてしまいますからね。

 スランプや故障の一番の原因は疲れにあります。疲れが溜まるとフォームが崩れやすくなり、故障の可能性も高くなる。選手は疲れていても、なかなか監督やコーチに「疲れています」とは言いません。そこを監督やコーチがしっかりと見極め、正しい判断をしなければなりません。

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