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【WBC】アマチュア最強は過去の栄冠!?
それでも侮れないキューバの「武器」 (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 気になるとすれば、キューバのお家芸ともいえる矢継ぎ早の継投だ。例えば、先発投手が4~5回を投げ切ったとすれば、残りのイニングを7~8人の投手でまかなうことなど日常茶飯事。次から次へと代わる投手にどこまで対応できるか。まず先制して主導権を握り、投手を代えられても余裕を持って対峙しなければならない。そうした展開に持っていくことができるかどうか、注目したい。

 また、昨年の親善試合では来日していなかったベタンコート、ゲバラ、ペレス、イグレシアスといった投手を、日本がどこまで把握しているかもポイントになる。

 ベタンコートは2009年のWBCにも出場した右腕で、ストレートは145キロ程度。制球力のいい投手で、テンポの良さが持ち味の投手だ。タテに落ちるスライダーやチェンジアップもあるがウイニングショットになるような球ではない。

 ゲバラは投げる球の半分がカーブという、一種の変則投手。140キロのストレートに対しカーブは110~113キロぐらい。緩急をうまく使って打ち取るタイプの投手だ。ただ、先日行なわれた阪神戦ではスライダーも混ぜるなど、これまでと違うスタイルの投球を披露した。このあたり、現地に派遣されていた巨人の西山一宇スコアラーは、どのように選手たちに情報伝達しているか、興味深い。

 ペレスはキューバ国内リーグで9勝2敗、防御率1.60の好成績を収めて抜擢された36歳のベテラン右腕。キューバ投手にありがちな荒々しい投球フォームではなく、日本人のようにクセのないフォームのため、球速表示ほど威圧感を感じない。

 そして右のスリークォーターのイグレシアスは、右打者に対して食い込んでくるツーシーム系を得意とする投手。球にも力があり、リリーフ陣の中では最も打ち崩すのが難しいタイプの投手に見えた。

 今日、日本はキューバと対戦するが、すでに両チームとも2次ラウンド進出を決めている。つまり、準決勝進出をかけて再戦する可能性が高い。そのため明日の試合はともに手の内を明かさないかもしれないが、その中でどれだけ多くの情報を引きずり出し、投手のイメージを頭の中に入れることができるか。そうした意味でも見どころが多い。

 かつてアマチュア最強と呼ばれたキューバも、選手の亡命などもあり、全盛期ほどの戦力はない、というのが大方の見方だ。しかし、昨日の中国戦でも、日本が5点しか取れなかった中国投手陣から15安打で12点を奪うなど、大会に入ってから調子を上げている。それだけに昨年の親善試合で連勝した日本だが、決して侮れる相手ではない。国際大会の経験値でいえば、今回の侍ジャパンのメンバーよりもはるかに高く、試合巧者ぶりは相変わらずだ。そのキューバが日本相手にどんな戦いを挑んでくるのか。キューバの今の実力を知る上でも、今日の対戦は見逃せない。

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