【プロ野球】パ・リーグ14年ぶり野手の新人王を目指す、27歳のルーキー・川端崇義 (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Nikkan sports

この中から新人王に輝くのは?この中から新人王に輝くのは? 気がつけば、川端は大学4年の時(2006年)に選出された大学日本代表メンバー22人の中で唯一、プロ入りしていない選手になっていた。ちなみに当時の日本代表メンバーは、岸孝之(西武)、大隣憲司(ソフトバンク)、永井怜(楽天)、長野久義(巨人)、上本博紀(阪神)、大引啓次(オリックス)たち。しかし、「遠回りしたからこそ、揺るぎないスタイルを確立することができた」と川端は言う。

 そしてここまで来れば、当然、気になるのが新人王の行方だ。今季パ・リーグの新人王有資格者の活躍を振り返ると、開幕当初は藤岡貴裕(ロッテ)が評判通りのピッチングで注目を集めたが、中盤以降に失速。代わりに台頭してきたのが同じくロッテの益田直也だった。益田は主に中継ぎとして59試合に登板して、34ホールドをマークするなど前半戦のロッテ快進撃を支えた。さらに楽天の美馬学、辛島航らもローテーション投手として奮闘。加えて、高卒ルーキーの釜田佳直(楽天)、抜群の内容で評価うなぎ上りの武田翔太(ソフトバンク)……。その中で唯一、野手として健闘しているのが川端だ。

 新人王を獲得するためには残り試合でどれだけ打率を残せるかが重要だが、9月に入り38打数7安打(打率1割9分4厘)と数字を落とした。それでも3割打者が3人しかいない現状を考えれば、現在の2割8分6厘は高く評価していい数字だ。

 ちなみに、パ・リーグで野手が新人王を獲得したのは1998年の小関竜也(当時・西武)まで遡(さかのぼ)らなければならない。こうしたことも含め、さらに注目は高まるだろうが、本人はいたって冷静だ。

「狙って獲れるものでもないですから……。今まで通り出来ることをやるだけです」

 自分のスタイルに徹し、残り試合を戦い抜くのみ。27歳のオールド・ルーキーに今年はどんな秋が待っているのだろうか。


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