【プロ野球】陰のMVP候補、巨人・西村健太朗のハンパない頑固ぶり
中継ぎ、抑えと大車輪の活躍をみせる西村健太朗安倍昌彦の投魂受けて~第27回 西村健太朗(巨人)
ペナントレース108試合目、巨人に優勝マジック30が点灯した8月23日のヤクルト戦。その試合で今季51試合目のマウンドに上がる右腕がいた。
プロ9年目の西村健太朗だ。
広陵高(広島)から2003年のドラフト2位で巨人に入団。ということは、彼のボールを受けてから、もう9年が経ったわけだ。もう、そんなになるかねぇ......。
この暑いさなか、2試合すればそのどちらかには必ず投げて、投げない日だって、30球、40球投げて肩を作って、常に登板に備えている。毎日、球場にやって来るだけでも結構こたえるこの時期だ。この働きは、生半可(なまはんか)なものじゃない。
それでいて防御率は1.33(8月23日現在)。首尾よくペナントを獲得したあかつきには『MVP』に選ばれてもおかしくない活躍ぶりだ。
「フランケンは......。あっ、私ら、(西村)健太朗のこと、フランケンって呼びよるんですけどね」
『野球小僧』の連載企画であった「流しのブルペンキャッチャー」の取材でグラウンドを訪れたのは、2003年のセンバツ直前。西村の人となりの一端を、中井哲之監督が語ってくれた。
「バスで遠征に行く時があると、私、選手に歌わすんです。それでなんとなくわかるじゃないですか、性格とか、度胸とか。ところがね、フランケンだけは絶対に歌わん。何度言っても、どう言っても、誰が言っても、絶対に歌わない。『ボク、歌は嫌なんで歌いません』って、なんがなんでも歌わんのです。いやぁ、頑固。いったんこうと決めたら、絶対に曲げよらん。たいしたヤツです、フランケン」
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