【プロ野球】最下位巨人にいま必要なのは「守護神・澤村」という劇薬

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • photo by Nikkan sports

4月24日現在、借金7とスタートダッシュに失敗した原監督率いる巨人4月24日現在、借金7とスタートダッシュに失敗した原監督率いる巨人 オフに大型補強を敢行し、他球団からは「巨大戦力」などと恐れられた巨人。その自他ともに認める優勝候補の大本命が不調にあえいでいる。4月24日終了時点で5連敗を二度も喫するなど、早くも4月の負け越しが決定した。まさか巨人がDeNAと最下位争いをするなどと予想した人はいなかったろう。

「敗因は打線」と多くの人が指摘する。強力打線が1点、2点に抑え込まれ、ズルズルと土俵を割るという戦いぶりが繰り返されている。

「結局は打者個人に任せすぎだと思います」

 ある担当記者の分析だ。

「力のある打者が多い分、その選手たちに任せきりでチームとしてどう攻めるかという方法論がない。ここは足をからめるとか、じっくりボールを選ぶといった統一した策がなく、得点のパターンが限られている。だから打順が変わっても中身はあまり変化がない」

 ベンチは開幕からさまざまなオーダーを試しているが、どれも成功しているとはいいがたい。結局は個人の調子が上がるのを待つしかないというのが現状だ。

 また、不調をサポートする立場のコーチ陣もやや心もとない。去年は生え抜きで好打者だった吉村禎章打撃コーチが目を光らせていたが、今年は捕手出身で打撃が専門とは言いがたい村田真一と、昨年まで育成選手を担当していた江藤智のコンビが打撃コーチを務めている。1番から豪華な顔ぶれが並ぶ打線に、「オレが言うことなんて何もないよ」というコーチのつぶやきを聞いた人もいるように、コーチ陣はアドバイスするどころか、むしろ静観を貫いている。このあたりも統一した戦術が取りにくい背景といえる。

 だが、実は打てないのが本当の敗因ではないと指摘するのが、野球評論家の山田久志氏だ。

「得点力不足といっても、去年優勝した中日だって打って勝った試合なんてほとんどなかった。統一球になってからどのチームも得点力不足なんですよ」

 たしかに山田氏の言うように、巨人のチーム打率はリーグ4位(4月24日現在)。強打のイメージが強いために貧打線に映るかもしれないか、飛び抜けて打率が低いわけではない。むしろ問題は他にあると山田氏は言う。

「投手陣、特に試合の後半を任せるリリーフが弱い。今のジャイアンツを見ていると、終盤の試合展開が読みにくい。つまり勝ちパターンがないんです。クローザーを任された西村(健太朗)は頑張っているけど、本来はクローザーというタイプではないし、他チームのクローザーと比べると頼りなく感じてしまう。リリーフが安定しないから、どうしても打者はもっと得点しなければと力んでボール球に手を出す。投手は投手で、もう1点もやれないと厳しいコースを狙いすぎてコントロールミスが増えてしまう。まさに悪循環です」

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