【プロ野球】ソフトバンク三軍に、将来有望な逸材たちがゴロゴロいた! (4ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 繁昌良司●写真 photo by Hanjo Ryoji

「試合をやるから、みんな伸びます。去年も『三軍』だけで100試合近くやっていますから。まだみんなキャリアの浅い選手たちですから、大学や独立リーグや、社会人のチームに胸を貸してもらって。去年から『三軍』を立ち上げて、春なんか、大学にも勝てなくてどうしようかと思いましたよ(笑)。でも、考えてみたら、ほとんどが高校出て1、2年の選手たち。大学4年がズラリのチームに負けるのもわかりますけどね。でもね、秋には独立リーグにも負けなくなった。やっぱり野球でも、なんでも勝負は『実戦』です。実戦の場に出さなきゃ、若いヤツは伸びない。出せば、こっちがピックリするぐらい伸びますよ」(小川三軍監督)。

 3ケタ背番号の育成選手が総勢22人。それに二軍からの調整組を数人加えて、27、8人の選手たちが「三軍」を構成して、ソフトバンクの次期主力を目指す。

「育成選手」という制度から派生した「三軍」というシステム。本来、この両者はペアでなくてはならない。各球団が育成ドラフトで「育成選手」を何人も採用しておきながら、正直、プロの二軍選手と同じくくりで野球をさせるには少々きびしい彼らを、漠然と二軍でプレイさせているのが現状だろう。

 体力、力量で劣るために、なかなかファームの公式戦では出場機会を与えられず、ファールの練習の「お手伝いさん」的な存在で、徐々に能力を退化させていく。こんな、じつにもったいない現実が、育成選手を採用している多くの球団に見られる現象だ。

「育成選手」とは、選手たちがプロを望むから獲ってやる、10人のうちひとりかふたりモノになればもうけものというような「消耗品」では、断じてない。人的資源も乏しいこの国の野球界にとって、彼らはかけがえのない「人材」である。

 ソフトバンクのように、はっきり「三軍」という組織を作って、選手たちの「今」に合わせたレベルでの活動を行ない、選手たちを育てていく。他の球団も見習うべきだし、こうしたシステムを明確に持たないかぎり、育成選手という人材を獲得する資格そのものが問われるのではないだろうか。

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