【プロ野球】阪神・伊藤隼太の最大の才能はプロの練習に耐えられる体の強さだ
いとう・はやた/中京大中京から慶応大に進み、1年春からベンチ入りを果たす。2年秋からは4番を任され、2度のリーグ戦優勝に貢献。2011年ドラフトで阪神から1位指名を受け入団。身長178センチ、体重83キロ、右投左打。ポジションは外野手。石山建一『選手のみかた』~阪神・伊藤隼太
今年も多くの選手がプロの門を叩きますが、その中で最も期待したい野手が、慶応大から阪神にドラフト1位で入団した伊藤隼太です。もともとは俊足巧打の外野手として注目されていましたが、大学に入ってからは長打力も備え、大学ナンバーワン野手と呼ばれるまでに成長しました。
まずバッティングに関して、タイミングの取り方が非常にうまい選手です。だからストレートでも変化球でも、しっかりと自分のポイントで打つことができる。それにスイングスピードが速いから、それほど体は大きくなくても遠くまで飛ばすことができるんです。私も何度か彼のホームランを見ましたが、打った瞬間スタンドに入ったとわかる打球ばかり。それだけタイミングがバッチリだったということです。
それに伊藤にとって大きかったのは、江藤省三さんが慶応大の監督になったことではないでしょうか。伊藤が2年の12月に監督に就任されましたが、とにかく江藤さんはバットを多く振らせました。伊藤も「元プロの江藤さんにもっとバットを振れと言われると、まだまだ足りないと思った」というようなことを言っていましたが、学生にとって元プロ野球選手のアドバイスというのは、すごく参考になったと思いますし、プロの世界というのを身近に感じられたと思います。
そして伊藤のいちばんの特長は、体の強さです。ケガをしない、ケガに強いというのは、ひとつの才能だと思っています。イチローが10年連続200安打を達成した時、天性のバッティングセンスに注目が集まりましたが、私は10年間大きなケガをしなかったことが何よりもすごいことだと思いました。
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著者プロフィール
石山建一 (いしやま・けんいち)
1942年、静岡県生まれ。現役時代は静岡高、早稲田大、日本石油で活躍し、現役引退後は早稲田大、プリンスホテル、全日本の監督を務め、岡田彰布(現オリックス監督)、宮本慎也(ヤクルト)など、多くの名プレイヤーを育て上げた。95年には巨人に招聘され、編成本部長補佐兼二軍統括ディレクターに就任。現在は高校野球の指導や講演を中心に全国を飛び回っている。