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「翔平は翔平」──走る姿に表れていた大谷翔平の異変 ドジャースの判断の是非と、間近で見ていたふたりのコーチの視点 (3ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Hideki Okuda

【大谷のIL入りは誰のミスでもない】

 大谷はこれまで、野球界の常識を覆すことで「大谷翔平」になった。投手か打者かを選ぶのではなく、両方をやった。手術から復帰する過程でも、打者として試合に出ながら投手として身体を作った。「普通の選手なら」という物差しを当てはめれば、現在の大谷は存在していなかった。だからこそ、今回も本人は自分の身体を信じ、ドジャースもその可能性を信じたのだろう。

「翔平は翔平なんです」

 イベルの言葉には、大谷を扱う難しさも凝縮されているように思える。今回は、その「翔平ならできる」が通用しなかったのかもしれない。32歳になった身体、左ひざの炎症、長年の二刀流による負荷、さらに投手復帰へ向けた調整。それらが重なったのである。

 それでも、こうなったことを単純な判断ミスとして片づけることには違和感がある。大谷自身も球団も、ただ突き進んだわけではない。回復と出場を両立させようとしながら、その時々の身体の状態を見て前へ進んだ。そして最終的に、身体がそれを許さなくなった。

 ポストシーズン進出を決めた夜、大谷はフィールドにいなかった。今はようやく完全に立ち止まり、再び走り出すための時間を過ごしている。10月、大谷翔平はどんな身体でフィールドに戻ってくるのか。その答えは、まだ出ていない。

著者プロフィール

  • 奥田秀樹

    奥田秀樹 (おくだ・ひでき)

    1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。

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