藤浪晋太郎がロベルト・クレメンテの生まれ故郷で語った「日米チャリティ文化の違いと可能性」 (2ページ目)
昨年、藤浪晋太郎も参加したプエルトリコのウインターリーグ photo by Kato Junこの記事に関連する写真を見る
【アメリカで知ったチャリティの本質】
藤浪は昨シーズン終了後、自らの意思のもとプエルトリコのウインターリーグに参加し、カロリナでプレーしていた。シーズン中はアメリカを主戦場としながら、クレメンテに縁のあるカロリナに所属する日本人選手は非常に珍しい。私がプエルトリコを訪れた理由を話すと、快く応じてくれた。まずは、アメリカでクレメンテがどのように捉えられているかを尋ねた。
「ラテン野球の象徴ですよね。日本でいえば長嶋(茂雄)さんや王(貞治)さん。いたるところにクレメンテの名前を冠した施設がありますし、まさにGOAT(Greatest Of All Time/史上最高)です」
それはクレメンテについての、これ以上ない定義であり説明だろう。つづけて、ボルティモア・オリオールズに在籍していた時のエピソードを教えてくれた。
「ボルティモアにいた時、ジェームズ・マキャンとカイル・ギブソンというベテランふたりとチャリティゴルフに参加したことがあります。トップゴルフ、日本でいう打ちっぱなしですね。そこでファンと交流しながら食事をしました。集められたお金は障害者支援の基金に寄付されます。
アメリカには、日本にはあまりない『与える文化』があります。日本人はシャイなところがあり、チャリティと聞くと抵抗を感じてしまう。ひとつの理由として、アメリカはクリーンで、不透明な部分がありません。助ける対象が明確で、身近に感じるんです。だから、問題の現実味をより理解できるし、やってみようという気持ちになります」
そして日米両国においてチャリティを行なう選手の心構えの違いを、実体験をもとに語ってくれた。
「大谷(翔平)がグローブを寄付しましたけれど、見本となる人が増えてこないことには変わらないと思います。子どものころから教育するにしても、そもそも大人がやらなければ始まらないですから」
短い時間ながら、多くの考えるヒントを与えてくれた。彼の聡明さがよく表われた回答だった。試合前の貴重な時間を割いて話してくれた藤浪に感謝したい。
2 / 3