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「プロ野球選手と経営者」の二足のわらじ MLBホワイトソックス傘下でプレーする西田陸浮が向上させたい指標は? (2ページ目)

  • 山脇明子●取材・文 text by Yamawaki Akiko

【マイナーリーグのバス移動中に会社の業務をこなす】

 ちなみにケープコッドリーグでは、現在ロサンゼルス・エンゼルスで先発出場しているノーラン・シャニュエルとチームメイトだった。西田と同じ2023年のドラフトでエンゼルスから1巡指名を受け、それから40日でメジャー昇格。デビュー戦から10試合連続安打という球団記録を成し遂げた。その後シャニュエルが目のトレーニングを西田から教わったというニュースが出たが、それについて西田に聞くと、「ノーランは三振が多くて、僕は少なかったので聞かれて、目のウォーミングアップを教えたんです」。

 西田にとって目のウォーミングアップは毎日の習慣となっている。

「シーズンを通してずっと試合に出るうえで継続的な打率とか残していかないといけない。それでどうしようかなと思った時に、ウォーミングアップをちゃんとしようと思い、それでウォーミングアップをやったあと、『目をやってないな』と思い、目のウォーミングアップをやりだしたら、『いけるな』と思いました」。野球選手として結果を出すために細かなことも実践している。

 プロ野球選手との両立で、特にシーズン中は多忙を極める。だが、西田は「シーズン中は12時に球場入りだったんすけど、日本の人と朝4時からZoomミーティングをやったりしていました。でも僕からしたら、それがすごくいい息抜きになりました」とあっさり言う。

 マイナーリーグ生活の厳しさのひとつにバスでの長距離移動が挙げられるが、西田にとってはこのバス移動が好都合で、「移動の時にできる仕事がいっぱいあるので、ずっとやっていました。だからそんなに苦ではありませんでした。逆にアウェーゲームのほうが時間は空くので、僕はよかったです」。

 また、毎日のように学生らと会話をすることで、自らのモチベーションになっていると言う。

「全然ストレスにはならないですし、選手も頑張っているから、僕もそれ以上の結果出さないと彼らに言えないなと思っています。場所やレベルは違いますが、自分が抱えている選手たちには負けられないという思いもあるので、そういう面では頑張れます。今後もいいところは残して改善できたらいい」と気持ちを新たにした。

 昨季、シーズンを通してマイナーリーグの3つの階層で戦った西田は、最初にプレーした1Aのカナポリス・キャノンボーラーズでは、チームの前半戦の地区優勝に貢献。これにより、カナポリスは早くもプレーオフ進出を決めた。また最後に所属した2Aのバーミンガムでは、リーグ優勝に貢献した。

 一方、トップのホワイトソックスは昨季、メジャーワースト記録となる121敗(41勝)。ただ「ホワイトソックスの下部組織はいい選手がたくさんいます。あと何年後か、2年後には強くなるんじゃないですかね?」。その時には、チームの一員として存在していたい気持ちも「もちろんあります」と力を込めた。

「ホワイトソックス内での競争に勝たないと、ほかのチームに勝てないので、まずはそこですね」

 そのためにも、メジャーリーグで重視される選手のパフォーマンスすべてを細かく評価する「指標」の向上を引き続き、目指す。特に本人が「指標」において「最悪に弱い。改善しないとダメ」と自覚するパワーアップについては力を入れている。キャンプ終盤の時点では、「体もすごく大きくなって10キロぐらい(体重が)増えた。打球とかも全然違うと思います。スピードも上がったし、総合的に向上したと思います」と充実感を漂わせていた。
 
「二足のわらじ」を履いていることを強みに、西田は今後もまい進していく構えだ。

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著者プロフィール

  • 山脇明子

    山脇明子 (やまわき・あきこ)

    大阪府出身。ロサンゼルス在住。同志社女子大在学時に同志社大野球部マネージャーと関西学生野球連盟委員を兼任。卒業後はフリーアナウンサーとしてABCラジオ『甲子園ハイライト』メインキャスター、サッカーのレポーターなどを務める。渡米後は、フリーランスライターとしてNBA、メジャーリーグ、アメリカ学生スポーツを中心に取材。

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