大谷翔平の前に立ちはだかる強肩堅守のブレーブス守備陣 ドジャースを上回る数字が示す強みとは? (2ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki
  • USA Today Sports/ロイター/アフロ●写真

【総合的な守備力でもブレーブスが優勢】

4月は打撃不振も守備での強肩は健在のアクーニャ 4月は打撃不振も守備での強肩は健在のアクーニャ この記事に関連する写真を見る

 もちろん守備は肩だけではない。内野手なら守備範囲、エラー率、ダブルプレーを決める能力、外野手なら守備範囲、飛球の処理能力などが問われる。野手の守備力を総合的に評価する場合は、スタットキャストに「フィールディング・ラン・バリュー/Fielding Run Value (FRV)」という指標がスタットキャストにはある。この数字が高い野手は守備でチームに大きな価値をもたらし、失点を減らすことができると評価されている。

 FRVでは5月1日現在、メジャー全体で305選手が対象となっており、最高が+6、最下位が−6となっているが、ブレーブスで高い得点の選手はアルシアが「3」点、三塁手オースティン・ライリー(27歳)、左翼手ジャレド・ケレニック(24歳)、捕手トラビス・ドーノー(35歳)が「1」点だ。

 ライリーは24日のマーリンズ戦、10回1死三塁で前進守備。三遊間の強いゴロを横っ飛びで止め、回転してヒザを着いたまま本塁へ送球し、走者を差した。ブライアン・スニッカー監督は「ゴールドグラブのプレー」と称賛している。

 ドジャースでFRVが高いのは、二塁手ギャビン・ラックスと控えの遊撃手ミゲル・ロハスで「2」点、アウトマン、エンリケ・ヘルナンデス、アンディ・パヘスの外野勢は各「1」点だ。

 2023年の「FRV」を見ると、ドジャースとブレーブスの2球団で最も高かったのはブレーブスの捕手ショーン・マーフィー(29歳)で「14」点だった。しかしながらマーフィーは今季2試合目に腹斜筋を痛めて負傷者リスト入りし、4月は欠場していた。言うまでもなく捕手は守備の要。この離脱は大きかったはずだ。ちなみに両チームの捕手のここまでの「FRV」を見てみると、ブレーブスのドーノーが「1」点、ドジャースのウィル・スミスは「0」点だ。

 スミスは打順では4番を打つが、守備は必ずしも強みではない。フレーミング(ストライクゾーン際の投球をストライクと判定させるように捕球する技術)は2023年が「-3」点で今季も「-1」点、ブロッキングもマイナス評価だ。一方で良くなってきたのはポップタイム(ボールを捕球してから送球が到達するまでの時間)で、二塁への平均到達時間は1.90秒で上位。今季盗塁は10回許し9回刺しており、阻止率47%はキャリア最高である。

 一方でマーフィーは2023年に年フレーミング、ブロッキング、盗塁阻止力とすべてで平均以上だった。2021年にゴールドグラブ賞に輝いたことがあるが、これからも有力候補であり続ける。マーフィーが近いうちに戦列に戻ってくることも含めると、守備力はブレーブスのほうが上と見ることができる。

プロフィール

  • 奥田秀樹

    奥田秀樹 (おくだ・ひでき)

    1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。

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