藤浪晋太郎「メジャー1年目」最高のシナリオ...先発ローテ入り→トレード移籍→ポストシーズン進出→ワールドシリーズ優勝?

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki
  • photo by Kyodo News

 昨シーズンまで阪神タイガースにいた藤浪晋太郎は、今オフにポスティングシステムを利用し、オークランド・アスレチックスに入団した。契約は1年325万ドル(約4億4000万円)だ。そこに、最高100万ドル(約1億3000万円)を超える出来高が設定されている。

 この契約には、ふたつの見方がある。

 ドルと円の換算レートにもよるが、出来高を含めた総額は、前年の推定年俸4900万円の10倍前後になる。出来高を含めなくても、大幅なアップだ。

キャンプで実戦形式の投球練習をする藤浪晋太郎キャンプで実戦形式の投球練習をする藤浪晋太郎この記事に関連する写真を見る その一方で、FA市場に出た先発投手が得た契約と比べると、むしろ安く思える。

 たとえば、ロサンゼルス・エンゼルスからFAになったマイケル・ロレンゼンは、デトロイト・タイガースと1年850万ドル(約11億6000万円)の契約を交わした。昨年の成績は、先発18登板の97.2イニングで防御率4.24。その前の6シーズンはリリーフとして投げていた。にもかかわらず、藤浪の2倍以上の契約を手にしている。

 契約と同じように、藤浪に対する評価もふたつに分かれそうだ。

 資質の高さについては、誰もが認めるところだろう。11年前のドラフトでは、12球団中4球団が藤浪を1位に指名した。

 3分の1の球団が競合した理由には、大谷翔平(現エンゼルス)がメジャー挑戦を表明していたことも挙げられるが、投手としては藤浪のほうが上、という声もあった。藤浪は体格にも恵まれていて、2メートル近い身長は大谷を凌ぐ。藤浪も大谷も、現在の年齢はまだ20代だ。

 ただし、これまでの結果は異なる。阪神時代の藤浪は、資質を存分に発揮してきたとは言いがたい。なかでも、2017年以降の6シーズンは、一軍で80イニング以上すら皆無だ。

 それでも、故障に見舞われて開幕に間に合わなくなるか、想像を絶するとんでもない乱調に陥らないかぎり、藤浪のローテーション入りは、まず間違いないだろう。

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