大谷翔平の「現状には不満足です」。元メジャースカウトが提案する新たな二刀流への挑戦

  • 佐々木亨●文 text by Sasaki Toru
  • photo by Getty Images

「大谷翔平はすごいと騒がれていますが、最初に彼を見た時から『(メジャーでも)トップの器になる』と確信した私にしてみれば、現状には不満足です」

 大谷の本質、そして彼に秘められた無限の可能性を知る数少ないひとりである小島圭市だからこその言葉である。大谷の軌跡を否定するものでもないし、今シーズンの躍動を過小評価しているわけでもない。そこに込められているのは期待だけだ。

大谷翔平が投手に専念すれば、近い将来サイ・ヤング賞を獲れると小島圭市氏は言う大谷翔平が投手に専念すれば、近い将来サイ・ヤング賞を獲れると小島圭市氏は言うこの記事に関連する写真を見る 前半戦、打者として33本塁打、70打点、12盗塁、投手としては4勝を挙げるなど、"二刀流"として順調な数字を残した大谷の姿にうれしい感情がこみ上げてくるという。ただ一方で、大谷のポテンシャルを考えれば「もっとやれる」「この程度じゃない」と思う気持ちが勝ってしまうというのだ。

 かつて小島は、メジャー球団のロサンゼルス・ドジャースの日本担当スカウトを務めていた。その小島が、花巻東高校(岩手)に入学した15歳の大谷を初めて見た時の衝撃は、今も脳裏から離れない。その"映像"が鮮明に残っているからこそ、小島はこう語る。

「大谷翔平はトップアスリートなんです。サッカーをやらせたら世界一のストライカーに、走らせたら100mで世界記録に迫るような選手になっていたと思います。そんな能力を持つ彼が野球を選んだ。そして今、メジャーという舞台でプレーしている。

 もちろん、これまで通ってきた道を否定するわけではありませんが、大谷の能力はこの程度ではないんです。彼の本当の才能を引き出せないまま、選手としてのキャリアを終えてしまうのはもったいない」

 スカウト活動をしていた頃の小島は、あくまでピッチャーとして大谷を見続けていた。

「私が見たなかで一番よかったのは、高校1年の時。体の柔軟性、肩関節の柔らかさを最大限に使った投げ方をしていた」

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