大谷翔平の大偉業なるか。やっぱり野茂、イチローはすごかった。日本人選手のオールスター「活躍の系譜」

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by AP/AFLO

 MLBの"夢の球宴"は目前――。今季のメジャーリーグで最大のセンセーションになっているロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平は、現地時間7月13日に行なわれる2021年のオールスターゲームでも全米を沸かせるのだろうか。

「もちろんチームが勝つことが一番の目標。それに付随して、自分がいい成績を残せれば。高い目標ではあると思いますし、野球選手にとってやっぱり目指すべき場所なのかなと思う。すごく光栄なことかなと思います」

 まずファン投票によってDHでの出場が決まると、大谷はそんな言葉で喜びを述べた。その後、投手としても選出され、12日のホームラン競争にも出場することがすでに発表されている。

 この2日間、開催地のコロラドは"大谷一色"になりそうな予感がある。過去のオールスターを振り返っても、メジャーの英雄たちが揃う球宴で、ひとりの日本人選手がこれほど注目されることはなかった。

 日本人メジャーリーガーの球宴での活躍を振り返ると、やはりすべては野茂英雄から始まっている。

1995年のオールスター前日会見で、先発を務めたランディ・ジョンソンと野茂1995年のオールスター前日会見で、先発を務めたランディ・ジョンソンと野茂この記事に関連する写真を見る 1995年6月、6勝0敗、防御率0.89という見事な成績で月間MVPを獲得したことが評価され、野茂(当時ドジャース)はテキサスで行なわれた同年のオールスターに選出。ただ選ばれたというだけではなく、ナ・リーグの先発という大役を任され、ア・リーグの先発を務めた最強左腕ランディ・ジョンソンと投げ合うという正真正銘の夢舞台になった。

 この日の野茂は2回を投げて1安打無失点3奪三振。日本のファンの間に「まだメジャーリーグは遠い場所」という意識が残っていた時期に、ア・リーグの主砲フランク・トーマスを捕邪飛に斬って取った"トルネード"は燦然(さんぜん)と輝いた。野茂はメジャー通算123勝をマークしたが、意外なことに球宴出場はこの年の1度きり。それでも、日本人のパイオニアが成し遂げた偉業の価値が薄れることはない。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る