WBC初優勝を狙う米国、プエルトリコが絶好調で侍ジャパンを迎え撃つ

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)史上に残る「ザ・キャッチ」----。第4回大会にしてアメリカ代表がWBC初優勝を飾るようなことがあれば、アダム・ジョーンズの超美技はターニングポイントとして記憶されることになるだろう。

前回覇者のドミニカ共和国を破り、決勝ラウンド進出を決めたアメリカ前回覇者のドミニカ共和国を破り、決勝ラウンド進出を決めたアメリカ 強豪同士が1勝1敗で並び、決勝ラウンド進出を懸けて行なわれた3月18日のアメリカvsドミニカ共和国戦。アメリカが4-2とリードして迎えた7回無死、ドミニカのマニー・マチャドが放った大飛球は中越え本塁打かと思われた。しかし、オリオールズではマチャドの同僚でもあるジョーンズが、この飛球をフェンス越えでジャンピングキャッチ。ホームランボールをもぎ取ったスーパープレーで勢いをつけ、アメリカは結局6-3で勝利し、上位進出を決定づけたのだった。

 今大会開始前には、クレイトン・カーショウ、マイク・トラウト、ブライス・ハーパーといった参加を拒否したスーパースターのことばかりが話題になった。彼らがいないのであれば、アメリカ代表は確かに「ドリームチーム」ではないのだろう。

 それでも、ジョーンズ(6試合で2本塁打)は誇りを持ってチームを引っ張り、クリスチャン・イエリッチ(6試合で20打数7安打)、ブランドン・クロフォード(6試合で18打数8安打)、エリック・ホズマー(6試合で21打数8安打)といった、まだ全米的なビッグネームとは言えない好選手たちも全力でプレーしている。

「勝ち続ければ、ファンも僕たちがやっていることに気づくだろう。まずは勝たなければいけない。ドミニカ共和国は前回優勝し、多くのファンが応援してくれるようになった。僕たちもいいプレーを続ければ、観客も増えていくはずだよ」

 1次リーグ終了時にノーラン・アレナドはそう語っていたが、実際に、2大会ぶりの決勝ラウンド進出を果たしたアメリカには、過去にない意気込みが確実に感じられる。

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