野茂英雄、メジャーデビュー20周年。5月2日を振り返る (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by Getty Images

 メジャーリーグの試合をライブ中継するようになったのは、1989年シーズンのプレイオフからです。その後、オールスターゲームやワールドシリーズといった特別な試合に限り、東京のスタジオや現地からライブ中継をするようになりました。ただ、レギュラーシーズンの試合はすべて録画中継だったので、野茂投手のメジャーデビュー戦をライブ中継すると聞いたときは、非常に驚いたものです。

 サンフランシスコで行なわれたデビュー戦はデーゲームだったので、その日は午前3時にNHKに入り、4時半から放送したのを覚えています。そんな夜中の時間帯に放送局に行くことは初めてだったので、とてもビックリしました。そして4時半にライブ中継がスタートし、現地から映像が飛び込んできた瞬間、これまでにない感動と緊張に包まれたことを今でも鮮明に思い出します。

 長年メジャーリーグの試合を見てきましたが、それまでは勝ち負けに一喜一憂するよりも、メジャーリーガーならではの最高のプレーを純粋に楽しんでいました。それが野茂投手の登場によって、日本のエースがメジャーで通用するのか、そこに一番興味を持って見るようになったのです。僕自身のメジャーリーグの見方は、このときから一変しました。

 今でこそダルビッシュ有投手(テキサス・レンジャーズ)や田中将大投手(ニューヨーク・ヤンキース)などが当たり前のようにメジャーで勝っていますが、20年前は我々日本人だけでなく、アメリカのメジャー関係者ですら、日本人投手がどれだけ活躍できるのか誰も分かりませんでした。日米野球での対決は過去にもありましたが、メジャーという舞台での真剣勝負は初めての経験だったからです。

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