好調アスレチックス。中島裕之に出番は巡ってくるか?
メジャー昇格のチャンスを待つ中島裕之。 昨シーズンに引き続き、オークランド・アスレチックスの好調が続いている。ヒット作『マネーボール』でその名をとどろかせたビリー・ビーンGMが、今シーズンもまた、その手腕をいかんなく発揮しているというわけだ。現地時間6月28日現在、47勝34敗でア・リーグ西地区の2位につけ、首位のレンジャーズを0.5ゲーム差で追っている。
一昨年前のオフシーズンのこと。先発の軸だったジオ・ゴンザレス(現ナショナルズ)とトレバー・ケーヒル(現ダイヤモンドバックス)、さらに守護神アンドリュー・ベイリー(現レッドソックス)をトレード放出。打線でも、ジョシュ・ウィリンハムとデービッド・デヘススが、それぞれツインズ、カブスへFA移籍していった。もちろん、2012年の開幕ロースターでめぼしい選手と言えば、ココ・クリスプ(外野手)、カート・スズキ(捕手/現ナショナルズ)、ブランドン・マッカーシー(投手/現ダイヤモンドバックス)くらい。そのマッカーシーですら、頭部に打球を受けたことでシーズン途中に離脱。まさに「そして、誰もいなくなった」状態だった。
それが、だ。まさか、だ。快進撃が始まった。トレードで獲得した選手が、ことごとく当たったのだ。ジョシュ・レディックは本塁打を量産し、トミー・ミローンとジャロッド・パーカーは先発ローテーションに定着。虎視眈々と地区首位をうかがう位置につけ、シーズン終了直前、レンジャーズとの直接対決でスイープ (同一カード3連勝)に成功。見事、地区優勝を奪い取った。30球団中29位という低予算球団が、補強に大金を注ぎ込んだレンジャーズやエンゼルスの鼻を明かしたのだから、ビーンGMも笑いが止まらない。
「まぐれ」だと見る向きが多かったことは否めない。が、今シーズンの戦いぶりはそんな疑念を一蹴するのに十分だろう。昨シーズン、打線の核となったレディックは不調。ステファン・ドリューもレッドソックスへFA移籍したが、勝ち続けている。その要因は何なのか? やはり、ビーンGMをはじめとする首脳陣の慧眼(けいがん)としか言えない。
「マネーボール」の時代から続く、無名に近い若手選手の中に潜む才能を見抜く力は健在だ。そのことは6月28日現在、メジャー登録25選手のうち20歳代が19人という事実からも分かるが、一方、最近では、他チームでくすぶり始めたベテラン選手を再生させることでも成功を収めている。
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