【MLB】今年、チームから最も期待されている日本人投手は?

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

名門ヤンキースで、エースのCC・サバシアに次ぐ先発2番手として期待されている黒田博樹名門ヤンキースで、エースのCC・サバシアに次ぐ先発2番手として期待されている黒田博樹日本人メジャーリーガー、それぞれの位置づけ【投手編】

 オープン戦も終盤に突入し、各チームの先発ピッチャーの仕上がり具合や、ブルペン陣営の力量も見えてきました。そこで今回は、日本人ピッチャーが現在、各チームでどのポジションに位置しているのか分析したいと思います。

 まずは今年、すでに先発ローテーション入りをほぼ確定させているダルビッシュ有投手はおいといて、メジャーに初挑戦しているふたりの日本人メジャーリーガーからチェックしていきましょう。ボルチモア・オリオールズと2年総額815万ドル(約6億4000万円)で契約した和田毅投手と、イチロー選手や川崎宗則選手も所属するシアトル・マリナーズの岩隈久志投手です。

 オリオールズの和田投手は、契約金額からも分かるように、大きな期待をかけられて入団しました。しかし、キャンプイン早々に左ひじに違和感を覚え、大幅に調整が遅れることに。ようやく3月18日に初登板しましたが、2回を投げて1安打1失点。バック・ショーウォルター監督は「これから見極めていきたい」と語り、和田投手が先発ローテーションに入るかどうかの明言は避けていました。

 和田投手が先発陣の一角に入るかどうか明言しづらいのは、ほかにも理由があります。それはオリオールズの先発候補に、抜きん出た存在がいないからです。今年の先発は、ジェイク・アリエータ、チェン・ウェイン、トミー・ハンター、ブライアン・マティスあたりに決まりつつあるものの、5番手はいまだに見えてきません。昨年メジャー1年目にチーム最多11勝を挙げたザック・ブリットンが先日、左肩の炎症を起こすと、オリオールズはこの段階で、フィラデルフィア・フィリーズを解雇された左腕のドントレル・ウィリスとマイナー契約しました。同じ左ピッチャーの和田投手としては、非常に立場が厳しくなったと言えるでしょう。

 先発陣が決まらない原因は、チーム内にシーズン200イニングを投げたピッチャーが、ひとりもいないことです。エースのジェレミー・ガスリーが唯一、その大台をクリアしていたのですが、今年、コロラド・ロッキーズに移籍してしまいました。これは、先発の軸を作る上で、非常に不安なことです。頼りになるピッチャーがいないので、このままでは開幕投手を、メジャー1年生のチェンに任せるということも十分あり得ます。

 和田投手も日米の違いがあるとはいえ、ソフトバンク時代、2年続けて180イニング以上投げたことがありません。先発ローテーションに入るには、安定した結果を出し続け、シーズンを通して投げられるというアピールが必要です。すべては残りのオープン戦の出来次第なので、和田投手の巻き返しに期待したいところです。

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