【ドラフト2026】「野球IQなら誰にも負けない」亜細亜大・山里宝が明かした驚異の思考回路 その原点は中学時代の異常な英才教育にあった (3ページ目)
【中学時代に受けた驚愕の英才教育】
松陽中の野球は特殊だった。打者によって、野手は極端なシフトを敷く。バッテリーはそのシフトに応じた配球で、相手打者を打ち取っていく。山里は「打者のデータによって、守る位置を極端に変えていました」と語る。
だが、中学野球でそこまでのデータ収集ができるものなのか。そんな疑問を口にすると、山里は事もなげにこう答えた。
「試合前や打席に入る前に、すべて出ますよ。たとえばネクストバッターズサークルでの素振りを見れば、打者のスイングのクセだけでなく、性格もわかります。打ち気満々でガンガンくる選手だとわかれば、初球に力のある高めの真っすぐ1球で終わります。わざわざ時間をかけずに1アウトが取れるし、仮にファウルでも1ストライク。ボールになってもOK。ホームランにさえならなければ、いいわけですから。こうやってリスクを削りながら、最高の結果を追い求めていました」
試合前には、必ずブルペンで投球練習する相手投手を観察する。球質だけでなく性格も分析することで、攻略の糸口が見えてくるという。井上監督はすべてのプレーに根拠を求めた。その緻密な指導を受けた山里は、「自分のなかでセオリーとして残っていくんです」と語る。
井上監督の発想は常識を超えていた。ある練習試合では選手全員にイヤモニ(イヤーモニター)を装着させ、井上監督はベンチからトランシーバーで指示やプレーの解説をしていたという。山里は「井上先生から『何でそうなった?』と聞かれて、ポジションから大声で答えたら、『試合中やぞ』と怒られました」と愉快そうに振り返る。
井上監督が他校に異動したあとも、山里は個人的に指導を受け続けている。「この人はレベルが違う」。中学時代に抱いたその思いは、ドラフト候補として注目される存在になった今も、少しも変わっていない。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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