【社会人野球】広島戦力外の元ドラ4が「異例の正社員」に プロ通算10安打で終わった男が新天地で取り戻した輝き (2ページ目)
【本来のチームプレーを思い出した】
NTT東日本ではこれまで、かつて所属していた選手がプロ野球を経て再加入するケースはあったが、所属経験のない元プロ選手を採用するのは初めてだった。
韮澤自身も「びっくりしました」というオファーだったが、声をかけられた翌日には練習に参加。会社側も「高卒7年目の中途採用」という形で正社員として迎える待遇を用意し、入社が決まった。
元プロ選手を採用する社会人野球の企業チームは増えているが、嘱託社員としての契約も少なくない。そうしたなかでの正社員採用は、NTT東日本の期待の大きさを物語っていた。
恩師の岩井監督も背中を押した。
「野球をやってお金をもらえるということは同じ。野球界にまだ必要とされているんだから、頑張れ」
自らを「人見知り」と表現する韮澤だが、新天地にはすぐに溶け込んだ。
北道監督は「今季から加入したという感覚がまったくない。ずっと長く一緒にやっているような感覚ですし、チームに与えるいい影響も大きい。韮澤を獲ってよかったなと、いつも思っています」と称賛を惜しまない。
主将の向山基生(むこやま・もとき)も「今年入ってきた感じがしないくらい溶け込んでいます」と口を揃える。
「厳しい世界を知っている選手なので、野球への思いがすごく強い。体のケアや準備は誰よりも早くしていますし、見習うことばかり。いい背中を見せてくれています」
韮澤も「チームメイトはいい人ばかりで、来た時から歓迎してくれたので、不自由なくやれています」と感謝する。
なにより、野球そのものに対する感覚が変わった。社会人野球の魅力を尋ねると、こんな言葉が返ってきた。
「会社のため、チームのためと、自分のためだけじゃないところですかね。プロでは自分がどうやって活躍するかだけを考えていたので、本来の野球のチームプレーを思い出したというか」
高校時代まで持っていた感覚を取り戻したのかもしれない。
「こっちのほうが合っているのか、すごく楽しいですね。自分が打てなくてもチームが勝てればいい。それを都市対抗予選とかで気づかされました」
そう言って、韮澤は笑った。
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