【高校野球】PL学園vs横浜 1998年夏の死闘を振り返る「ボールが手から離れた瞬間に、やばいと思いました」 (2ページ目)
【「こんなの横浜じゃないやろ」ベンチの高揚感】
今江 試合が動くなかで、ベンチの雰囲気はどうでしたか。
上重 PL学園が2回に3点を取ったんです。「行けるぞ」という雰囲気になりそうだったんですけど、チームメイトが「いや、こんなの横浜じゃないやろ」と言い出して。そのあとすぐに2点取り返されたら、「来た来た来た! ほんまの横浜来た!」みたいな感じで楽しんでいる雰囲気でした。
僕らは何カ月も「打倒・横浜」で準備してきたのに、3点リードしたくらいで勝ってたまるかという気持ちもありました。みんなの「もっと来てくれよ」という姿が格好よかったです。
【延長17回、ボール球が「吸い込まれた」瞬間】
今江 延長17回の場面について、聞かせてください。
上重 延長17回、アウトをポンポンとふたつ取って、次もショートゴロ。あとは18回だけだと思った瞬間に、ショートが暴投してランナーが一塁に出ました。それでも「ひとりくらいなら大丈夫だろう」と思っていました。
平石 僕はすごく嫌な雰囲気を感じて、「タイムを取れ」と言っていたんだけど、外野からの声は届かなかったんですよね。上重さんはランナーがセカンドに進まなかっただけでもOKという感じだったよね。でも、守るほうとしては「よし!打ち取った」と思ったところからの暴投だったから、嫌な予感がしたんです。
今江 その次、結果的に最後の1球になったボールは、どんな思いで投げていたんですか?
上重 エラーを大ごとにしたくなかったので、ポンポンポンとストライクを取って、「早く終わらせよう」くらいの感覚で投げたんです。でも、ボールが手から離れた瞬間に、やばいと思いました。バットとボールがスローに見えて吸い込まれるように当たっていく感じ。飛んでいくボールを見ながら「平石、追わへんのや」って思った(笑)。
平石 ちょっと追いかけていますよ(笑)。
上重 試合後、宿舎に帰って『熱闘甲子園』で映像を見るまで、自分は打たれたあとも立ったままだと思っていたんです。でも、映像を見たら、ひざから崩れ落ちていました。力尽きた時の人間ってそうなるんだと知りました。
2 / 2


