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サッカー日本代表が32強で敗退した遠因にも 森保監督への評価を放棄したメディアのあり方

  • 杉山茂樹●文 text by Shigeki Sugiyama

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連載第105回
杉山茂樹の「看過できない」

 32強(決勝トーナメント1回戦)でブラジルに敗れ、ワールドカップの舞台をあとにした日本代表。恵まれたとは言えない組み合わせを踏まえれば、妥当な結果にも見えるが、16強に進んだ過去2大会と比較すればやはり見劣りする。というわけで、その評価が割れるのは自然だ。

 だが森保一監督は大会前、組み合わせの抽選を終えてもなお「目標は優勝」と言っていた。むしろ抽選会のあとのほうが声高に「優勝」を連呼するようになり、自ら先頭に立ってその可能性を煽っていた。そのことを勘案すれば、今回の結果に対して落胆の気持ちが勝る人がいても不思議はない。サッカーにあまり詳しくない人ほど、そうなる可能性は高かったと思われる。森保監督への評価は、中立的な立場にあるメディアならば、やや厳しめになるのが筋だろう。

国立競技場で行なわれた東京ヴェルディ対柏レイソル戦を視察する森保一監督 photo by Kyodo News国立競技場で行なわれた東京ヴェルディ対柏レイソル戦を視察する森保一監督 photo by Kyodo News ところが、ワールドカップからの帰国直後に行なわれた記者会見では、会見が終了するや、退席する森保監督の背中に記者たちから拍手が浴びせられたと聞いた。筆者が帰国したあと、その会見に出席した知人のライターがその時の様子を報告してくれた。

 その後、森保監督の来年のアジアカップまでの続投が発表されると、さすが大手メディアは「それはいかがなものか」と異論を唱えるようになった。しかし森保監督は、そうした批判はどこ吹く風といった様子でテレビ番組に出て、画面越しに笑顔を振りまいている。聞けば最近、マネジメント会社に所属したという。それもここにきてテレビへの露出が目立つ理由なのかもしれない。

 出演した番組で厳しい質問をされ、受け答えしているわけではない。目立つのはスポーツジャーナリズムとはあまり関係のないバラエティ系の番組への出演だ。司会者や周りの出演者は、続投の是非などには触れないようにしているように見える。

 ワールドカップ本大会で日本が32強で敗退してしまった一因が、そこにある気がする。先述の会見で拍手が湧いたという話にも通底する、情けない話である。続投が決まった現役の代表監督である。すでにその職を離れているならまだわかるが、依然として賛否両論が渦巻く世界に身を置く人物だ。

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著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2026年北中米大会で12回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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