【夏の甲子園】京都国際が帝京以来となる35年ぶりの快挙 「ダブルサウスポー」が達成した記録とは?

  • 戸田道男●文 text by Toda Michio

3回戦の西日本短大付戦で完封勝利を飾った京都国際・中崎琉生 photo by Ohtomo Yoshiyuki3回戦の西日本短大付戦で完封勝利を飾った京都国際・中崎琉生 photo by Ohtomo Yoshiyukiこの記事に関連する写真を見る

【3試合連続完封で4強進出】

 3年ぶり2度目のベスト4進出を果たした京都国際は、中崎琉生(なかざき・るい)、西村一毅(いっき)の "強力ダブルサウスポー"が看板。

 3年生の中崎は切れ味鋭いスライダーが最大の武器で、2年生の西村は威力十分のストレートとチェンジアップを織り交ぜる。投球スタイルの違うふたりの左腕が交互に先発して、ともに2試合ずつをひとりで投げ切った。

 1回戦の札幌日大(南北海道)戦で中崎が3失点完投のあと、2回戦の新潟産大付戦は西村が3安打完封。3回戦の西日本短大付(福岡)戦は中崎が14奪三振の快投で完封し、準々決勝の智辯学園(奈良)戦は西村が6安打に抑えて、自身2試合連続完封。チームとして3試合連続完封をマークして、準決勝進出を果たした。

 夏の甲子園でチームとして3試合連続無失点勝利(完封)は、1989年の第71回大会の帝京(東東京)以来35年ぶりの出来事。1974年の金属バット採用以降では、これまで8校しか達成しておらず、今回の京都国際が9校目の快挙となった。

 金属バット導入50年の今年、低反発の新基準バットが高校野球に大きな変化をもたらしているが、完封チームが激増しているのもその効果の表われのひとつ。35年ぶりに3試合連続無失点勝利チームが登場したことは、投手優位が顕著に見える今年の高校野球のトレンドを象徴している。

【絶対的エースによる達成がほとんど】

 1989年の帝京の例で言うと、準決勝の秋田経法大付戦、決勝の仙台育英(宮城)戦は吉岡雄二(元近鉄など)が完投で記録したが、準々決勝の海星(三重)戦は吉岡と池葉一弘の継投だった。

 その前の達成チームもやはり帝京で、1987年の第69回大会で芝草宇宙(元日本ハムなど)が2回戦の東北(宮城)戦のノーヒット・ノーランから3回戦の横浜商(神奈川)戦、準々決勝の関西(岡山)戦と3試合連続で完封勝利を挙げた。

 3試合連続完封は、このように絶対的エースと呼ばれる投手がひとりで投げ抜いて達成するケースが一般的で、最もイメージしやすい。

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著者プロフィール

  • 戸田道男

    戸田道男 (とだ・みちお)

    1961年岩手県一関市生まれ。明治大学卒業後、東京スポーツ新聞社で4年間野球担当記者を務めたのち、ベースボール・マガジン社入社。週刊ベースボール、ベースボール・クリニックほか野球関係の雑誌、ムックの編集に携わる。2011年に同社を退職し、同年から2021年まで廣済堂出版発行の「ホームラン」編集を担当。現在はフリーランスの立場で野球関連の編集者&ライターとして活動中。

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