大学時代に指名漏れ→徳島インディゴソックスへ 最速157キロ右腕となった工藤泰成は堂々のドラフト候補になった (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

「練習の施設が整っていて、レベルアップできる場所だと思いました。自分自身、去年のドラフト会議をリアルタイムで見ていて、インディゴソックスから6人もドラフト指名されたのは驚きました。去年に159キロを出して阪神に2位指名された椎葉(剛)選手みたいに、自分も力をつけてNPBに行きたいと思いました」

 荒木を介して球団関係者とコンタクトをとり、工藤の徳島入団が決まった。

 まず工藤が取り組んだのは、徹底的な肉体改造である。筋力トレーニングのなかで「ビッグ3」と呼ばれるベンチプレス、スクワット、デッドリフトの総重量を測定すると、入団時は計500キロだった。

 シーズン中でもウェイトトレーニングに励むチームにあって、工藤は徐々に力をつけていく。大学時代に80キロだった体重は、85キロまで増量。そしてビッグ3は、3回目の測定にして計555キロまで達している。

「今は野球だけに集中できるので、トレーニング量が増えて球速アップ、レベルアップにつながっていると感じます」

【自己最速の157キロをマーク】

 しかし、すべてが順風満帆というわけではなかった。5月10日の愛媛マンダリンパイレーツ戦では4回2/3を投げて5失点、5月20日のソフトバンク三軍戦では2回2/3を投げて6失点と2試合連続で炎上している。工藤は「ランナーをためて長打を打たれるパターンになってしまった」と反省の弁を口にした。

 その後、「ストライクゾーンで押していこう」と方針を固め、5月24日の香川戦での快投につながった。

 徳島インディゴソックスの岡本哲司監督は、工藤の状態が上がってくることを予感していたという。

「練習でもポイントをつかんできて、だんだんよくなっていました。ブルペンでも球速が出ていたので、今日は球速が出るだろうなと思っていました」

 工藤は今後の課題として、「コントロールと落ちる変化球(フォーク)の精度」の2点を挙げている。

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