大学時代に指名漏れ→徳島インディゴソックスへ 最速157キロ右腕となった工藤泰成は堂々のドラフト候補になった (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 シーズン終盤もストレートの球威を保ちつつ、課題を改善できれば工藤のドラフト指名は現実味を帯びてくる。昨年の椎葉のように上位指名を勝ち取ることも不可能ではないだろう。現実に、今年の社会人球界で工藤ほどの剛球を投げるドラフト候補は現時点で思い浮かばない。

 丸亀でのナイトゲームを終えたあと、工藤は「これから徳島に戻ってトレーニングです」と語った。彼らにとって深夜のトレーニングは日常なのだ。

「寝不足の身にはきついですね」と伝えると、工藤は笑ってこう返してきた。

「去年悔しい思いをしたので、今年はなんとか支配下指名を目指していきます。出ている課題を一つひとつ潰して、やっていきたいですね」

 6月16日の阪神(ファーム)との交流戦では、自己最速をさらに更新する157キロを計測した。

 徳島で目覚めた男は、まだまだ眠らない。工藤泰成の逆襲は始まったばかりだ。

※文中の年齢は2024年満年齢

著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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