甲子園4強から東大野球部への道のり「毎日1時間半の勉強はどんなに疲れていてもやる」松本慎之介が絶対に譲らなかった文武両道

  • 門脇 正法●取材・文 text by Kadowaki Masanori
  • 田中 亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

文武両道の裏側 第19回
松本慎之介(東京大学野球部)前編(全2回)

 東京大学に期待の新人左腕がいる。國學院久我山高で甲子園ベスト4に貢献し、浪人を経てこの春入学した松本慎之介だ。そんな彼の文武両道の裏側を探るべく、東大球場を訪ねてインタビュー。前編では、子どもの頃からの野球と勉強の両立について聞いていこう。

國學院久我山高から東大へ進学した松本慎之介投手國學院久我山高から東大へ進学した松本慎之介投手

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【東大は自分にとっていい感じ】

ーー東京大理科二類に合格する前と入学したあとの東大のイメージは変わりましたか?

松本慎之介(以下、同) 入る前は正直、もっと暗い人が多いのかなってイメージだったんですけど、実際は社交的な人が多いです。もちろん、なかには自分のなかに世界がある人もいるんですけど。みんなすごく頭がよくて、どこかの分野に長けている人がすごく多いんで、話していて楽しいです。自分にとっていい感じの環境です。

ーーでは、東大の野球部に入部する前と入部してからのイメージの変化は?

 いや、野球部のイメージはそんなに変わらなかったかな。野球部にはアナリストがいて、球速であったり、ボールの回転数を計測する機械を使ったり、バッティングも科学的に考える選手がたくさんいます。そういうイメージは、入る前からありましたし、僕も好きです、そういう野球。

ーーちなみに、松本さんは1浪での東大合格になりますが、仮に1浪で東大に入れなかったら、2浪という選択肢もありましたか?

 いや、2浪はもう無理でしたね。1浪でどこかへ行こうかなと思っていました。早稲田大には受かっていたので、前期試験で東大に落ちたら、後期で北海道大を受けに行って、それで考えよう、と。けど、1浪で東大に受かってホッとしたっていうのがマジなところです。

ーーとはいえ、1浪をしたことで、ちょっと体がなまって、今、野球部の練習が体力的にきついということはあったりしますか?

 浪人している時は、週1回、ジムに行ってトレーニングはしていたんですが、もともと体力はあまりあるほうじゃなかったんで、ブランクは感じているところです。最近はだんだん慣れてきたんですけど、最初の頃は本当に筋肉痛がすごく出ました。やっぱり、六大学はレベルが高いので、しっかりついていけるようにしていきたいですね。

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プロフィール

  • 門脇正法

    門脇正法 (かどわき・まさのり)

    マンガ原作者、スポーツライター。1967年、埼玉県生まれ。日本女子体育大学大学院スポーツ科学研究科修士課程修了。アニメ『ドラゴンボールZ』の脚本家である小山高生氏からシナリオを学び、マンガ原作者デビュー。特にスポーツアスリートの実録マンガを得意としており、『世界再戦ー松坂大輔物語ー』(集英社/少年ジャンプ)、『好敵手ー室伏広治物語ー』(同)、『闘球「元」日本代表ー福岡堅樹物語ー』(集英社/ヤングジャンプ)の原作を担当。現在はマンガの原作だけでなく、「少年ジャンプ」のスポーツ記事特集『ジャンスタ』を中心に、『webスポルティーバ』の「文武両道の裏側」など、スポーツライターとしても活躍中。著書に『バクマン。勝利学』『少年ジャンプ勝利学』(ともに集英社インターナショナル)などがある。

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