2020.05.09

明石商・狭間監督がマイナスから目指した
甲子園「初日で辞めようと思った」

  • 沢井史●文 text by Sawai Fumi
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

「うちは一流の選手が来るわけではなく、まずは基礎をしっかり叩き込むスタイル。基礎ができて、応用を教えていきます。そこで初めて技術が上がるんです。一流の選手は基礎を教えなくてもできるので、いきなり応用を教えてもできるけど、うちに来るような子はできない。だから、基礎を徹底的に教え込みます」

 指導熱はとにかく熱い。昨年のドラフトで楽天から7位指名を受けた教え子の水上桂は、以前こんなことを話していた。

「教えるにしても、口だけで終わらせるのではなく、身振り手振りで教えてくれるんです。試合になると、自分たちをやる気にさせてくれる言葉をかけてくれます。(去年の)夏の県大会決勝で劣勢だった時、『ベンチ外の選手のためにも全力で戦え。それでダメだったら仕方ない』と言われて。スタンドで大きな声を出して応援してくれている仲間のことを思うと、自然とやる気が出て。だから逆転して、甲子園に行けたんだと思います」

 いつも狭間は「子ども(選手)のために一生懸命やりたい」と言う。明徳時代からずっとそうだ。子どものためならどんな努力でもすると狭間は言う。

「試合前は対戦相手の映像を擦り切れるほど見るから、睡眠時間なんて2時間くらいは当たり前です。でも、子どもたちが『勝ちたい』と必死だし、彼らの喜ぶ顔を見たいですからね」