桐蔭横浜大のドラフト候補「おかわり君2世」は体重113kgで盗塁成功 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 texy by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 近年は中村だけでなく、2年連続本塁打王の山川穂高(西武)、ロッテの主砲・井上晴哉のように、ふっくらした体型のスラッガーが存在感を放っている。昭和期のプロ野球選手のなかには、ベテランになるにつれ腹回りの出てくる選手も多かったが、現代プロ野球ではアスリート体型の選手が大半を占める。そんななか、中村らの存在はノスタルジックですらある。渡部はその系譜に連なる可能性を秘めたスラッガー候補だ。

 体型の話題は当人にとってデリケートな側面もはらむが、渡部は「そういう選手がプロで活躍してくれるから僕のような選手も見てもらえるのだと思うし、前向きにとらえています」と語った。試合中はチームメイトから声をかけられるシーンも頻繁にあり、人望の厚さも感じさせる。

 2年時から大学日本代表候補合宿に招集され、代表選出こそならなかったものの存在をアピールしてきた。とくに昨年6月の合宿では紅白戦で二盗に成功。迫力満点のスライディングが決まった瞬間、スタンドから喝采が起きた。渡部は笑いながら当時を振り返る。

「一塁コーチャーの谷口さん(英規/上武大監督)から『ピッチャーが足を上げる前に走れ』と言われたので、そのとおり走ったらセーフになりました」

 合宿中は同期生であり、大学球界を代表するスラッガーでもある佐藤輝明(近畿大)といつも同部屋だった。打撃論を交わすことはなかったが、「大きな刺激を受けた」と渡部は言う。

 下から空に向かって突き上げるような雄大なスイングを見せる佐藤に対して、渡部のスイングは一見ふわりと力感がないように見えるが、ボールを運んで飛距離を伸ばすスイングだ。渡部自身はこう見ている。

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