日体大で本気で二刀流に挑む逸材。指名漏れも2年後を見据え肉体改造中 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

「辻さん、よくやるんですよ。試合前のピッチャーに気持ちよく投げてもらおうと、ちょっと大げさに捕るんで」

 そう言って矢澤は苦笑した後、こう続けた。

「遠投は結構好きで、自分の一番いいフォームで投げられるんです。平地ではいいけど、マウンドに立つと傾斜もあるし、距離も近いので変わってくる。マウンドでも遠投の感覚で投げられたらいいんですけどね」

 はっきり言って、試合ではさほどアピールはできなかった。2回2/3を投げて被安打4、奪三振2、四死球5。大量に出塁を許したものの、3併殺を奪ったため失点は2で収まった。制球に苦しみ、ストレートも最速141キロ止まり。それでも時折、スピンの効いた快速球を投げ込み、素材のよさは見せた。矢澤本人にも焦りはない。

「今日は感覚のいい球がなかったですけど、指先とか細かい部分にこだわらずにまずは体を作ることを考えたいと思います。大学進学という選択肢を選んでいるので、目先の試合よりも2年後に自分がどうなるかを考えながら、長い目で見てやっていきたいです」

 矢澤は高校時代にプロ志望届を提出しながら、ドラフト指名漏れに終わっている。日本体育大に入学後は基本的に投手の練習メニューをこなしながら、打撃練習にも毎日参加。1年時はおもに野手としてプレーした「二刀流」である。

 二刀流は現在も継続中で、矢澤は「保険をかけるつもりならやらないほうがいいと思いますが、ピッチャーでも野手でも勝負しているつもりです」と語る。

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