外務省から高校野球の監督へ。名将に学んだ指導で夏の神奈川に挑む (6ページ目)

  • 清水岳志●文 text by Shimizu Takeshi
  • photo by Sportiva

 取材当日は、相模田名時代の教え子が平林を募って上溝の練習の手伝いに来ていた。母校ではない高校の練習に来るというのは、珍しい光景だ。

「田名で最後に負けたあと、『監督、マウンドに来てください』言うので行くと、選手たちが胴上げをしれくれたんです。監督冥利につきる瞬間でした」

 練習が終わってからの円陣で、平林が口を開いた。

「最後の最後まで粘ってほしいんだ。ギリギリまであがくべきだと思うよ。さぁ、大和南に向かおうよ!」

 奇しくも、初戦で戦う大和南は、相模田名時代の2013年に監督として夏の予選で初勝利を挙げた因縁の相手である。

「また勝って、波に乗りたい。上溝は過去、夏の一大会で3勝したことがないので、3つ勝つことが目標です。そしていつかはハマスタ(横浜スタジアム)で試合がしたいですね。甲子園はその先です」

 51歳の元外務省監督の夢を叶えるチャンスは、定年まであと9年残っている。

(文中敬称略)

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