廃部寸前の無名県立校がセンバツ出場。富島(宮崎)に何が起きたのか (3ページ目)

  • 加来慶祐●文 text by Kaku Keisuke
  • photo by Kyodo News

 九州大会準決勝の東筑戦でも、初回に3点を失ったものの徐々に取り返し、5-5の同点となった8回に勝ち越すなど、得意の終盤勝負に持ち込んで試合を決めている。

 この試合で決勝打を放った主将の中川大輝は、九州大会で17打数10安打、9打点と大活躍した犠打ゼロの"超攻撃的2番打者"だ。チーム一のバットマンを2番に据えることで、走者を溜めた状態で主軸へつなぐだけでなく、活発な下位打線でつくったチャンスを中川が還す。この163センチの野球小僧が、多彩な攻撃パターンを擁する富島の注目選手といっていい。

 ドラフト候補がいるわけではないし、180センチを超える選手はひとりもいない。それでも、浜田監督に鍛えられた選手たちが自分の仕事をきっちりとこなし、粘り強く戦い抜く。初戦の相手は星稜(石川)に決まった。甲子園でも"富島野球"を実践することができれば、甲子園1勝はおろか、上位進出も夢ではない。

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