元ドラ1、元独立リーガー、元リストラ担当...甲子園を彩る異色の指導者 (7ページ目)

  • 清水岳志●文 text by Shimizu Takeshi
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 ただ、それは選手の個性を見極めての指導だ。

「松本は向上心がある。言われてつぶれる子じゃない。部屋に『オレがエース』って書いて、貼ってありますから」

 プロ野球と高校野球の違いを、若林はこう説明した。

「プロの世界は『使えない』という評価をされたら切られます。でも、高校野球は『こんな選手もいるんだ。こうやったらもっとうまくなるかもしれない』と。そういう考え方をするようになりました」

 若林のプロ通算成績は6年間で1勝1敗、防御率8.85と、成功したとは言い難い。だからこそ、高校野球の現場に戻っても、自分の型にはめることなく指導できるのだろう。

 智弁和歌山の中谷も、「一流になってしまっていたら、僕の感覚を押し付けるような指導になっていたと思う」と言った。

 今回、彼らを取材して印象深かったのは、みんな同じ言葉を口にしたことだ。

「高校野球の勝利は格別です」

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