早実・清宮に「脅弾」を浴びた八王子・米原大地が笑顔でいられたわけ (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「ワインドアップだと腰を反るクセがあって、負担になるのでセットで投げていたのですが、今までワインドアップでやってきたので......。後ろにはピッチャーがいるのだから、後悔しないようにいけるところまでいってみようと」

 ワインドアップになってからはコンスタントに140キロを超えるなど、本来の米原のボールが蘇ってきた。バッテリーを組む2年生捕手の越村周は、そのボールの手応えに感動を覚えたという。

「試合前は腰の不安もあったと思うんですけど、回を重ねるごとにボールに力が出てきました。ワインドアップになってからは力で押して、チームに勢いをつけようという意志を感じました。ボールを受けていて、『(故障前の)今までの米原さんを受けてる!』と思っていました」

 米原は3回までに2失点を喫したが、4回から6回までは無失点。そんな膠着状態で飛び出したのが、清宮のホームランだったのだ。八王子の安藤監督は、あらためて清宮攻略のための作戦を明かした。

「投げていいボールは4つだけだと、昨日の夜に決めていたんです。インコースのストレート、インコースのボールになる5割のストレート、外に落ちるシンカー系のボール、インコース低めのワンバウンドのスライダー。ホームランを打たれた打席は、『インコースに行け』と言っていたのですが、それが力んでしまったのかボールになった。それで外でストライクを取るしかなくて、打たれてしまった」

 そして、こう続けた。「清宮くんは打ち損じか、ホームランか。どっちかしかないので。勝負するということは、そういうことですから」。

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