勝負は試合前から。甲子園の主将たちが語る「じゃんけん必勝学」 (3ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 埼玉大会37回無失点の最速152キロ左腕・高橋昂也を擁する花咲徳栄は"先攻派"だ。今夏は2戦目となる埼玉大会3回戦からすべて先攻。好投手を擁する場合、「守りからリズムを作る」と後攻を選択することが多いが、あえて先攻を取って「攻撃の姿勢を前面に出す」(岩井隆監督)のが狙いだ。

 先攻を選ぶようになったのは、高橋が背筋痛で登板できなくなった春の埼玉大会から。「昂也が戻ってきたときに強いチームになっていよう」を合言葉に攻撃力を高めようと取り組んだのがきっかけだった。夏になり、高橋が戻ってからも「昂也が先発で投げれば守りは今までより安定するので、攻撃でも先攻を取って攻守ともに攻めの姿勢を出そうということです」(村上直心部長)と先攻を続けている。

 とはいえ、じゃんけんに勝たなければ選択権はない。キャプテンの岡崎大輔の勝率は5割程度。本人も村上部長に「弱いんすよ」とこぼすほど、じゃんけんは悩みの種だった。そんな岡崎を救ったのが学生コーチの清川旺。岡崎から相談を受け、アドバイスしたところ、その日のじゃんけんで勝利。以来、信頼を得て、埼玉大会3回戦からすべて清川が指示をしている。

「あいこになったときのために、『最初がチョキで次はパーな』とか2つぐらい言います。根拠? 勘ですね(笑)。自分はじゃんけん強いんです」(清川)

 甲子園の初戦でも見事に勝って先攻を選択。初回に1点を先制して勝利につなげた。

 じゃんけんの弱さに悩むキャプテンは意外と多い。

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