【大学野球】大学選手権開幕。東浜巨&吉永健太朗の甲子園V腕を筆頭に好投手ズラリ!

  • 佐伯要●文 text by Saeki Kaname
  • 日刊スポーツ●写真 photo by Nikkan sports

大学通算31勝(18敗)を挙げている亜細亜大の東浜巨。大学通算31勝(18敗)を挙げている亜細亜大の東浜巨。 第61回全日本大学野球選手権が6月12日に開幕。全国の26連盟を代表する大学が神宮球場、東京ドームを舞台に頂点を目指して争う。昨年は東洋大のエース左腕・藤岡貴裕(現・ロッテ)や慶應大の主砲・伊藤隼太(現・阪神)らに注目が集まったが、今年も楽しみな逸材が顔を揃えている。

 なかでも注目度ナンバーワンは、亜細亜大のエースで主将も務める東浜巨(ひがしはま・なお=4年)。今秋のドラフトの超目玉として、各球団のスカウトが熱視線を送る右腕だ。
 
 直球、カーブ、スライダー、ツーシームを操り、走者を出しても粘り強い投球で「あと一本」を打たせない。今春のリーグ戦では4完封を含む5勝を挙げて優勝に貢献し、MVP、最優秀投手、ベストナインの3冠に輝いた。大学通算31勝(18敗)を挙げているが、そのうちなんと21勝が完封勝利。昨秋、それまで東洋大の松沼雅之(元西武)が持っていた東都大学リーグ記録の15完封を抜き去り、なお更新中である。
 
 最速152キロを誇る東浜だが、今春は140キロ前後の球が多く、本来の調子とはほど遠い出来だった。それでもこの成績を残せるのは、他にも武器があるからだ。そのひとつが、打者の手元で沈むツーシーム。直球と腕の振りがまったく同じで、打者からは見わけがつかず、簡単にはバットの芯に当てられない。もうひとつが、投球術。打席にいる打者だけでなく、投球の合間に次打者や相手ベンチまで観察して、バットの軌道や表情、しぐさなどから狙い球を察知する。そしてバックを信じ、打たせて取る投球に徹している。
 
 昨秋は東都リーグを制して明治神宮大会に駒を進めながらも、東浜自身は右ヒジを痛めて登板できず、チームも初戦で敗退した。それだけに今大会に賭ける思いは強い。亜大・生田勉監督は「(決勝までの)4試合すべてで行けるように」とエースの連投を示唆しており、東浜も「4試合も全国の舞台で投げられる機会はそうはない。簡単に点は取れないが、自分が点を取られなければ負けない」と、2002年以来の優勝へ向けて意気込んでいる。

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