【高校野球】U-18W杯で清宮幸太郎が初めて味わった「4番の重み」

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Nagase Yuya/PHOTO KISHIMOTO

 甲子園のマウンドには空になったペットボトルが転がっていた。歓喜の輪の周囲には、グラブが乱雑に放り投げられていた。3大会連続となる世界一を決めた瞬間、アメリカの選手たちは甲子園の黒土の上で水をぶっかけあい、叫び声をあげながら大はしゃぎしていた。

 清宮幸太郎(早稲田実)は、目を赤くして、じっとその光景を見つめていた。

1年生ながら日本代表の4番に抜擢された清宮幸太郎1年生ながら日本代表の4番に抜擢された清宮幸太郎

「(夏の選手権は)悔いなく、楽しく終われた。この大会は、迷惑しかかけていないし、悔いしか残っていない」

 8月28日に開幕したU-18ワールドカップで高校日本代表の4番を任された清宮は、27打数6安打の成績で大会を終えた。決勝までの8試合を無敗で勝ち進んだチームにあって、打点はわずか2、本塁打はゼロと、ひとり乗り遅れていた。5割近い打率を残し、2本塁打(8打点)を放った選手権の活躍からすれば、物足りない数字だった。

「なんの力にもなれなかった。世界との差を感じたとか、自分が及ばなかったとか、そういうわけじゃないですけど、4番としての仕事、チームの中心となって打線を引っ張ることができないと、こういう結果になってしまう。4番の責任というものを重く感じました」

 決勝のアメリカ戦でも、チャンスで回ってきた清宮のバットが火を噴くことはなかった。アメリカに2点を先制されて迎えた4回裏。二死から3番の勝俣翔貴(東海大菅生)にチーム初安打となる2塁打が出て、清宮に回る。しかし、相手左腕プラットのチェンジアップを空振りし、見逃しに終わった第1打席に続く三振となった。

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