【自転車】片山右京「東京五輪が自転車界に及ぼすもの」

  • 西村章●構成・文 text by Nishimura Akira 五十嵐和博●写真 photo by Igarashi Kazuhiro

遥かなるツール・ド・フランス ~片山右京とTeamUKYOの挑戦~
【連載・第27回】

 2014年シーズンが終盤に差し掛かったころ、TeamUKYOを率いる片山右京に今シーズンの手ごたえを聞いてみた。すると、話は思わぬ方向に広がっていった。日本各地での支援活動、2020年・東京オリンピックの影響力、自分たちの存在意義......。片山右京が目指す将来のTeamUKYO像とは?

(前回のコラムはこちら)

6年後に開催される東京五輪後のビジョンを語る片山右京6年後に開催される東京五輪後のビジョンを語る片山右京 サイクルロードレース界は毎週末のレースが続き、2014年シーズンもいよいよ大詰め――という印象がますます強くなってきた。特に10月は、先ごろ栃木県宇都宮市で行なわれた日本唯一のUCI超級レース「ジャパンカップサイクルロードレース」と、ツール・ド・フランスを主催するA.S.O.と埼玉県さいたま市の共催で10月25日に行なわれる「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」にあわせて、欧州から多くのプロツアーチームと有名選手が来日し、その華やかさをさらに際立たせている。

 TeamUKYOも、この両レースに参戦している。また、日本国内のシリーズ戦Jプロツアーもこれらのレースと平行して行なわれており、ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムの翌日には、シリーズ第19戦の「美浜クリテリウム」が愛知県の知多半島で開催される。選手とチームにとっては、文字どおり息をつく暇もなく、あわただしい連戦スケジュールだ。

 TeamUKYOを率いる片山右京は、ここまでの戦いについて、「選手とスタッフ全員がとても頑張ってくれている。楽じゃないのも、想定どおり。思いどおりの結果を残せたレースや、そうじゃないレースもあるけれども、トータルで見れば、ほぼ予想していたとおりに進んでいる、という印象です。Jプロツアーでは、個人部門でホセ(・ビセンテ・トリビオ/TeamUKYO所属)がルビーレッドジャージをキープしてくれているけれども、2位との差はごくわずか。逆に、チーム部門では首位の宇都宮ブリッツェンにかなり追いついてきたけれど、この少しの差を残りレースで逆転しなければならない。本当の意味での総力戦ですね」と話す。

「今の自分たちの状態は、順当でもあり、思っていた以上に全然ダメだなあ......というところもあって、これから先の大変さを実感しているところなんですよ、痛いくらいに」

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著者プロフィール

  • 片山右京

    片山右京 (かたやま・うきょう)

    1963年5月29日生まれ、神奈川県相模原市出身。1983年にFJ1600シリーズでレースデビューを果たし、1985年には全日本F3にステップアップ。1991年に全日本F3000シリーズチャンピオンとなる。その実績が認められて1992年、ラルースチームから日本人3人目のF1レギュラードライバーとして参戦。1993年にはティレルに移籍し、1994年の開幕戦ブラジルGPで5位に入賞して初ポイントを獲得。F1では1997年まで活動し、その後、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦。一方、登山は幼いころから勤しんでおり、F1引退後はライフワークとして活動。キリマンジャロなど世界の名だたる山を登頂している。自転車はロードレースの選手として参加し始め、現在は自身の運営する「TeamUKYO」でチーム監督を務めている。

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