【新車のツボ107】スバル・クロスオーバー7試乗レポート (2ページ目)

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 クロスオーバー7はもとがミニバンだけに、サードシートを畳んでSUVとして見ると、トランクが巨大で使い勝手がいい。ミニバンとしては「こういうカタチのミニバンは、やっぱり3列目がせまいなあ」と意地悪になってしまうのだが、SUVとして見れば、いきなり「イザというときに7人乗れるなんて超便利!」とポジティブシンキングになってしまうから不思議......というか、われながら人間なんてチョロイもんである。

 もっとも、クロスオーバー7のツボはこうした企画の妙だけでなく、その整形技術もじつは高いこともある。新しいスバル顔もモトのシルエットにうまく融合しているし、SUV化のキモであるルーフレールやリアスポイラー、下半身のブラックアウト処理も、見事なバランス感覚のプロの仕事というほかない。ちょっと日本車ばなれした明るいブラウン内装も、どうしても生活くさいミニバンのイメージから脱却させるのにメチャ効いている。

 走りもそう。クロスオーバー7は、スバル最新のチューニング技術に加えて、「しょせん地上高が大きいSUVだし......」という割り切りが良い方向に転んでいて、ほどほどに穏やかで大人っぽいツボをついた乗り心地に仕上がっている。乗るだけでホッコリする癒し系なのに、ステアリングは正確なのだ。それに4WD技術はスバルの十八番。クロスオーバー7のように地上高をちょっと上げるだけで、悪路性能もナンチャッテSUVをまとめて倒せるレベルになってしまうのだ。

 ワタシ個人はこうしたプチ整形ナンチャッテ系の延命商品は嫌いである。なのに、クロスオーバー7は、不思議なほどツボにあふれる。これはちょっとした奇跡だと思う。

【スペック】
スバル・エクシーガ・クロスオーバー7 2.5iアイサイト
全長×全幅×全高:4780×1800×1670mm
ホイールベース:2750mm
車両重量:1620kg
エンジン:水平対向4気筒DOHC・2498cc
最高出力:173ps/5600rpm
最大トルク:235Nm/4100rpm
変速機:CVT
JC08モード燃費:13.2km/L
乗車定員:7名
車両本体価格:275万5000円

プロフィール

  • 佐野弘宗

    佐野弘宗 (さの・ひろむね)

    1968年生まれ。新潟県出身。自動車評論家。上智大学を卒業後、㈱ネコ・パブリッシングに入社。『Car MAGAZINE』編集部を経て、フリーに。現在、『Car MAGAZINE』『モーターファン別冊』『ENGINE』『週刊プレイボーイ』『web CG』など、専門誌・一般紙・WEBを問わず幅広く活躍中。http://monkey-pro.com/

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