2014.12.16

【新車のツボ92】
BMW2シリーズ・アクティブツアラー試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 これはBMWなのにFF(前輪駆動)車だそうである。BMWのFFは史上初らしい。BMWは数あるメーカーでも、デザインからクルマづくりまで、ブランドのイメージやテイストの徹底した管理・統一を生命線とする。たとえば、外観上ではおなじみのフロントグリルや後端が鋭角に曲がったリアサイドウインドウのモチーフなどが、BMW全車のデザインに共通する。ちなみにオタク用語では、このフロントグリルを”キドニー(=腎臓)グリル”、リアウインドウのラインは、1960年代にこれを考案した当時のデザイナーの名から”ホフマイスターキンク”と呼ぶ。

 BMWが今の今まで後輪駆動(とそれをベースにした4WD)にこだわってきたのも、(前輪に駆動力が伝わらないので)全域で滑らかで素直なステアリングフィールとか、高速で前後がバランスした素直な回頭性……といった微妙な”味”がBMWのツボだったからだ。つい最近まで直列6気筒エンジンばかり使っていたのも、この形式のエンジンが高回転まで絹のように滑らかに回って、”プォォォォォーン”という澄んだ快音を響かせてくれるからだ。

 ところが、このBMWは前輪駆動であるうえに、全高1.55mのハイトワゴンスタイル、しかも売れ筋の218iアクティブツアラーは3気筒エンジン……。こうして文字にするだけだと、まるで軽自動車。時代も変わったなあ。

 そんな新時代のBMWを、神経質で口うるさいマニア筋は「BMWらしい走りのツボが薄れた。そもそもハイトワゴンなんてBMWらしくない」などというかもしれない。細かいことをいえば、なるほど荒れた路面でのゴトゴト感や、コーナーでの旋回速度が増すとフロントから膨らんでいくクセ(=アンダーステア)に、伝統的な後輪駆動BMWとの差を感じなくもない。

 でも、BMWだなんだという前に、これを純粋に300万円台のプチ高級な実用ファミリーカー(今回の取材車は高級グレードだが、ベーシックモデルなら本体価格332万円)として見てみよう。そうすれば、これはなかなかによくデキたクルマだ。